菅野所長のエッセイ:特筆がほしい


東京は20センチ以上の大雪。月曜日、ちょうど雨から雪に変わるそのときに外を歩いていたので、これは積もる雪だなと思った。これくらい降ったのは4年ぶりということだが、いつのことかさっぱり思い出せない。すると、「あのときは雪でスリップした車に轢かれそうになったのでよく憶えています」と言う人がいた。なるほど、何か特別なエピソードと連合していれば記憶は鮮明に残る。ということは、自分には何もなかったということになる。何だか少し淋しい。特筆すべきエピソードというか出来事、そういうのに欠けているのではないかと思う。

今回はしかし、この前の大雪のときよりも歩道の除雪がなされているなと感じた。思い違いかもしれないが、天気予報ではおよそ1週間前からこの日は大雪になると言っていたので準備ができていたのかもしれない。昔と違って、いまの気象予想はすごいなあ。たまに外れるけど、文句を言わないようにしなければ。

火曜は白根山が突然の噴火。監視カメラやリフトに乗ったスキーヤーの映像が怖い。あそこでスキーやってると風向きによっては硫黄の匂いが漂ってくるもんな。ゲレンデのすぐそこが火口だし。
しかし、更にびっくりしたのは、次の日も朝から滑っている人がいることだった。この人たちはいったい? 今日は噴火はしないとかの情報もあったのだろうが、やめとくもんだろう。昔日本人はエコノミックアニマルと揶揄されたが、これはレジャーアニマルだ。こういう楽天家は嫌いだ。
いやしかし、無理矢理駆り出された地元関係者ということもあり得るな。そうなるとエコノミックのほうになるけど。

話を戻すと、どうも最近はポジティブな特筆するようなエピソードがないような気がする。だから、何だか夢見もよくないのか。この間はまたまた道がわからなくなってひたすらウヨウヨする夢だ。九州のどこかに行ったのだが、こっちのほうに駅があるはずなのにそれがない。そうやって歩いているとまるでどこにいるのかわからなくなる。バス停があったので、それを見れば何かわかるかと思いきや、聞いたこともない地名やバス停名ばかりだ。もうどこにいるのか、どこに行ったらいいのかわからない。生まれてこの方の自分の人生そのもののようだな。

原稿仕事が全部終わってしまったから何もすることがないせいなのか? こういうものがないと毎日のルーティンが繰り返されるばかりで変化がなくなるんだよね。変化のない日々はつまらない。とくに僕みたいに、仕事以外は一人でいて、あまり外に行きたがらない奴はこうなりやすいかも。何か書いていないとダメなんだな、自分は。

そんな中で、このところ読んでたコミックに「マギ」というのがある。例によって超能力ふんだんのバトル系と思っていたが、徐々に少年マンガらしからぬテーマとなっていく。それは理想社会とはどういうものかということだ。いったいどういう結末になるのかと、そこだけに若干の興味を持っていたが、軍人、力による国家はダメ、一人の英雄、カリスマが皆をまとめ上げる社会もダメ、思想や宗教による統制もダメということになって、結論は交易や貿易によって紡がれる社会、つまり商業社会がいいんじゃないのとあいなった。つまり資本主義社会こそが究極の社会形態だと。
マンガにしては面白いテーマだったけど、それもどうなの。実はその結論をスタートとしたほうがいいんじゃないの。自殺した西部邁だったらどう思うかね。まあ、こういうテーマについては、やがては「ワンピース」がなかなかな結末を見せてくれるだろう。