傾聴技法 その2:感情を理解していることをフィードバックする

このコーナーでは、管理職の方が部下から相談を受けたり、ご家族やご友人と話し合ったりする際に有効な、傾聴技法を中心にした知識や実践上のポイントをご紹介します。

 前回は、部下の感情を理解するプロセスについてご紹介いたしました。今回は、理解したことを部下にフィードバックする(返していく)ポイントを、言語・非言語的観点から事例を通してご説明いたします。
 Nさんは体調を崩して数ヶ月自宅療養をしていました。ようやく調子が良くなってきて、主治医からも就業可能との診断を受け、上司のMさんと職場復帰について話し合うことになりました。

アンダーラインの箇所が、フィードバックを意識しているところです。

N:「これまではご心配をお掛けいたしました。やっと戻れることになりました」
(発する言葉はうれしそうでもあるが、表情は緊張している様子)

M:「待っていましたよ。声に力がありますね」(穏やかな声掛け

N:「はい。ありがとうございます。でも、ちゃんとやっていけるか、心配で・・・」

M:「ちゃんとやっていけるか、心配なんですね

N:「ええ。私が休んでいる間に、仕事の進め方に変更があったと聞いています。私が担当していたことはDさんが引き継いでくれているそうですし・・・。私が戻ったら、かえって皆さんのご迷惑にならないかと・・・」

M:そうか、気にしていたんだね。今日もこういう話をすることになると思い、緊張もしていただろうね」(以下省略)

感情を理解していることをフィードバックする際のポイントを示します。

1.表情や態度、声の調子などの非言語のレベルで理解した相手の感情を、非難や批判をしないで尊重することに勤めます。上の例では、“穏やかな声掛け”の箇所などが相当します。

2.非言語のレベルで理解した相手の感情を言葉に置き換えてフィードバックしてみます。“声に力がありますね”の箇所です。

3.会話中に相手が使った感情に関する言葉を、そのまま、もしくは、その言葉に近いと思われる言葉に置き換えてみて、『?と感じているのですね』という言い方でフィードバックします。上の例では、“心配なんですね”の箇所です。

感情を理解していることをフィードバックした後は、相手の表情や態度を注意深く観察すること、相手が発する「はい」・「そうです」・「その通りです」などの返事を通して、フィードバックが相手にとって適切であったかどうかを確かめていくことが肝心です。
「いいえ、違います」・「そうではなくて・・・」などと相手が応え、フィードバックが適切でなかった場合は、「すみません、違っていましたね」と早めに伝えた方が良いでしょう。よろしければ、日常生活のなかでこれらのポイントを確かめていただけましたら、幸いです。

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