菅野所長のエッセイ:猫の用心棒


2014.09.05

 今週は、錦織のベスト4の瞬間を生で観られたのが収穫だった。
 最近テニスはまったくと言っていいほど観ない。今回はたまたま、第4セット途中から観ることができて幸いだった。実力的には相手のほうが上回っていたが、錦織は最初からフルセットになるのを見込んでいたかのような戦いぶりで、それがよかったと思う。第4セットなどは、一気にここで決めたいと思うところだったろう。そう思えば思うほど取られたときのショックが大きい。でも、錦織はフルセットに持ち込まれてもわりと平然としているように見え、ああ、これならいけるかもと思った。第5セットもずっと接戦だったが、粘り強くやっていて、最後には相手が根負けした感じだった。

 相手はランク4位。しかも全豪を2回制しているのだからそれなりに粘り強さも持っているはずだから、この勝利は大したものだ。日本人がメジャーでベスト4に入ったのは96年ぶり。大正時代でしょ。格上と戦うときにはこういう心構えが大事だな。僕もお手本にしよう。 とは言え、準決勝はランク1位ジョコビッチ。これは無理かな。

 先週末は熊本に行っていて、これが意外と涼しかったので助かった。5月に行ったときの方が暑かったんじゃないか? 学会の重なりで、都合9日間仕事場に来なかったので、今週のしわ寄せがすごい。昨日などは終わった後ほんとうに疲れちゃって。今日も明日もハードだが、まあしかたない。疲れのせいか、昨夜は7時間くらい寝てしまって、久しぶりに目覚ましに起こされた。

 そういえば熊本と言えばクマモンで、学会の懇親会に呼んでいると聞いたが、クマモンは酒席には一切行かない決まりがあるということで、昼間に登場した。他のホテルの入り口でも見たし、依頼は相当多いようだ。何でも全部で6頭いるらしい。フナッシーと違ってクマモンは喋らないから中身は誰でもいいわけね。

 で、空港に着いたときにもさっそくクマモングッズがたくさんあるわけだが、何と「夏目友人帳」のニャンコ先生のグッズもコーナーが設けられていた。作者が熊本出身とは知っていたが、やはり地元では注目のアイテムと化しているようだ。

 実は、僕はすでにニャンコ先生のぬいぐるみを購入しているので驚きはしなかったがね、ふふふ。生涯でぬいぐるみを買ったのは初めてのことだが、ニャンコ先生は実は斑(まだら)という名の大妖怪で、夏目クンの用心棒なのである。で、枕元に置いて一緒に寝ると悪い夢を見ないようになるのではないかと思いましてね。昨日はベッドから落っことしてしまったが。

 ブエルタ・ア・エスパーニャも昨日からは観られることになった。もう12ステージくらいまで終わっていてそれは残念だがしかたない。唯一、先週の木曜日が家にいたので7ステージを観られたが、これが、フルーム、キンタナ、コンタドール、バルベルデなど、有名選手がたくさん残ってのゴール前混戦でひじょうにしびれたね。知識が増えるほどにますます面白い自転車レースである。

 昨日は街中の周回レースだったのであまり面白くはなかったな。基本的にロードレースはいろんな景観を楽しめるところがいい。ブエルタのスタートはアンダルシア地方の海沿いだったし、広大なオリーブ畑の中をひたすらに走り、山岳に入っていくときもワクワクする。ツール・ド・フランスよりも観客が少ないが、それはそれで純粋に自然を楽しめるしね。日本ではツール・ド・北海道があるが、それもテレビ中継してほしいなあ。
 今はまだだが、でも、これから延びるのは間違いなく自転車ではないか。「弱虫ペダル」の影響はなかなかすごいらしく、かなりの人が自転車にはまっているらしいし。フランス国内では、ツールの視聴率が45%何だとか。ヨーロッパでの人気はすさまじいのだ。
 日本ももうちょっとねえ。大きなレースは地上波でやるくらいにはなってくれないかなあ。僕もそうだったが、単によく知らないだけであって、知ってくるとこれほど面白いものもなかなかないのだから。

菅野所長のエッセイ:夏の終わりに


2014.08.23

 あれは酒の上での戯れ言でした、まさか本気にするとは思わなかったものですから、ということで勘弁してもらえないだろうか?

  一年で本を書くということを言ってしまったがために、毎日大変な思いをしている。はたして8月から始めると言っただろうか、それもよく覚えてないが、月のノルマは25枚くらい。完全書き下ろしはなかなか大変だよね。ま、許してもらえるわけないな。そもそも酒は飲んでないし。

 とにかくやるしかない。ただ、来週はまるまるいないので、それで8月は終わっちゃう。早くもノルマ不達成は確実か。営業の鬼課長から叱られそうだ。

 しかも、今日から、待望のブエルタ・ア・エスパーニャが始まるわけで、夜はこれを観戦して過ごすのだ、と思ったが、これも来週はずっといないので見られない。第1、第2ステージまでか。あとは、東京に帰ってからだな。どうも例年よりも有力選手がたくさん出るらしい。

 で、今のうちに書いておくが、来週はいませんのでこのエッセイも休載です。

 今週が終われば自分の夏も終わりだと思っていたが、このぶんでは暑さはゆるみそうにない。熊本なんかはさぞかしなんだろうが。9月もまだまだ暑いんだろうなあ。睡眠は短時間しかとれないね。3時間くらい寝て、起きてしまって、そこから2~3時間の間をうつらうつらするというのが最近のパターンだ。仕事前はコーヒーをがぶがぶ。

 「夏目友人帳」の単行本も終わりに近づき、ちょっと寂しい。この間はあきらかにこれが影響した夢を見た。へんてこな夢だが。

 どうも自分のうちはパークランドのような遊園地のようなものを経営しているらしいのだ。つまり、僕はそれを運営管理しなくてはいけない立場なのだ。ところが、閉園の時間になっても誰も帰ろうとしないで、うだうだと過ごしているのである。もうライトも消し、乗り物も動かないし、何のアトラクションもイベントもないのに、家族連れ、カップルなど、ものすごい数の客が残っているのである。「もう閉園で~す」と繰り返し言うのだが、何処吹く風で、薄暗い中、その辺のベンチや芝生に座ってのんびりしてたり、わいわい話してたりするのである。いったいいつまでいる気なのだ、参ったなあと思いつつ、どうすることもできずに呆然、困惑の中で目が覚めたのだった。

「夏目友人帳」でも、友人帳を持っている夏目には、名前を返してもらいたい妖怪や、友人帳を奪いに来る妖怪がよく訪れる。そのことで夏目は何かと大変な目に遭ってばかりなのだが、何だかそれと似ているような、それとも、「夏目」とは関係なく、これは僕自身の状況を示しているのか、はたまた、はなはだしく共通しているものがあるのかとか、いろんなことを考える。
 困ったことだけど、まあしかたないなあという思いもあって、不快な夢というのでもなかった。目が覚めたときには思わず苦笑したものな。

 ま、自分の苦労などたいしたものではない。広島では市街地で土砂崩れ、かなりの人が亡くなった。僕は土砂崩れの怖さはよく知っている、甘く見ないで早めに避難するのがいいのだが、行政も住民も、体験しないとわからんのだろうな。 
 昨日の野球では、広島の前田が好調阪神を気迫の投球で完封。市民のためにがんばったわけだが、いつもそれくらいの気迫が欲しいね。でもまあ、よかったか。

 それから、もう30年以上か、長いつきあいの精神科医が亡くなった。僕の知る中でも、患者さんに対する愛がある人だった。TCCが始まり、仕事で一緒になることはなかったが、ゴルフとかで年に1,2回会っていた。奥さんが編集をやってて、そのプロデュースで本を書いたこともあったな。ぜひ手をあわせに行きたいが、お別れ会が今日の昼ではどうしようもない。ここで合掌。

 

菅野所長のエッセイ:三色の虹


2014.08.16

 ああ今週も1週間が終わろうとしているなあ。お盆の頃だというのに、僕の忙しさはいっこうに変わりない。昨日なんか、面接していたカウンセラーは僕一人だったと、終わってから知った。世間ではUターンのピークだとか。まあ、競馬は負け放しだし、仕事するしか能がないからしかたないと。再来週は、学会が重なり、そこで1週間休むし、それまではがんばってみよう。

 しかも、この間、1年間かけて本を一冊書くと編集者と軽い約束をしてしまった。ほんとに書けるのだろうか? 書く時間なんか何処にあるというのだ。明らかな見込み発進。自動車教習所なら確実に怒られるところである。

 ブエルタが始まるまでは特に楽しみがない中、今は「夏目友人帳」だけがささやかな楽しみである。ここには、僕がずっと考え続けてきた、人と人とのかかわりについてのある姿がある。それは何とも言葉ではあらわせないのだが、多分それに触れるたびにさめざめと泣いてしまうのだ。

 中でも僕がいちばん好きなのは、村の厄難を払う2対の妖(あやかし)の話だ。あるとき、彼らの前で村人が「三色の虹を見ると何でも願いが叶うそうだ」という話をしていた。妖の一人は「人間て、何てばかばかしいことを言うものなんでしょうね」と一方に語った。けれども、それ以降、その妖は虹が出るたびにそれが三色でないことを残念がったという下りである。
 しかし、村を飢饉が襲い飢えに苦しむ村人は、祓い神のせいだとその妖がよりしろとしている狛犬を壊してしまう。それにより、人間の幸せをいつも願っていた妖は悪霊となってしまった。そうしたことのあった何百年か後に夏目たちがその悪霊を鎮めるという話なのである。夏目たちの力で悪霊が元の自分を取り戻し、しかし、消えてしまった後、夏目は、その祓い神の周りに花を植えることを思いつく。それも「三色」の花を。そのオチがこれまた憎い。

 ここから想起したのは、昔3冠馬ミスターシービーが、しんがりからごぼう抜きしてダービーを勝ったときに、解説の井崎周五郎が、「寺山さんに見せたかったなあ」とつぶやいたことである。寺山さんとは言わずとしれた寺山修司。寺山はミスターシービーの騎手吉永正人を贔屓していたが、このレースを観ることなくこの年亡くなったのだった。

 この二つの話が何処でどうつながるのかうまく説明できないが、すぐに連想するくらいだから僕の中ではつながっているのだろう。ただ、自分の記憶の中では、これを言ったのは大川慶次郎ということになっていた。このあたりの記憶というのはほんとにあいまいだ。 確認のために調べてみると井崎周五郎。まあ、井崎さんでもいい。いつもニコニコと適当なことばかり言っているように見えるが、僕が知る限り、競馬における寺山修司を最も理解していたのは井崎さんだったと僕は思うのである。それは当時の追悼文を読んだときに思ったのだったが。

 この井崎さんとは、そのずっと後に僕が本を出すときにお世話になるのだから世の中はわからない。あるとき寿司屋で偶然会って挨拶とお礼をしたのだが、ほんとにいい人だった。で、話をすると、競馬を(観)始めたときがまるで一緒だった。雨中、ダイシンボルガードが勝ったときのダービー。このレースは、直線でダイシンボルガードが抜け出してきたときに、この馬を世話している厩務員さんが喜びのあまり馬場に飛び出して走った事件で有名である。
 厩務員さんと言えば、かつてハイセイコーの厩務員だった人は、ハイセイコーが地方から中央に移籍したことがショックで失踪してしまったこともある。

 こうしてみると、競馬にもいろいろな物語がある。そういうところも好きなんだろうな、きっと。  

菅野所長のエッセイ:夏日、夏目(暑気払い合併エッセイ)


2014.08.08

 先週は、早々に書いていたのにアップするのを忘れてしまいました。
やはり暑さのせいだろうか、原稿の督促メールも今週二本。どっちもとっくに書いてあるのに送信を忘れていた。いかんなあ。
 しかし、こういう灼熱の中で仕事するのがそもそも間違っている。水曜、出かける用事があり、一番暑い頃に外出したが、もうとんでもない感じ。歩くだけで身体がおかしくなるぜ。

で、今回は先週のと合併させちゃおうと思う。

 

 とにかく睡眠が問題ですな。
 この頃は、暑いから眠れないというよりも、その前にエアコンで身体が冷えてしまうようで、それが寝つきの悪さにつながっている感じである。寝る前には、何となくほんわかとした温かさが必要な気がするが、早めにエアコンを止めれて備えればいいのか、そういうコツがよくわからない。多分わかった頃には夏が終わり、そしてまた来年の夏には忘れているのだろう。人生はそういったことの繰り返しだ。

 と言っているうちに、本当にコツがわかってきている。最近の僕の夜の過ごし方は、居間にいる間はエアコンと換気扇を使い、寝る前にそれを切り、今度は寝室のエアコンを1時間で切る設定にして、扇風機を4時間後に切れるようにしてベッドに横になる。扇風機は直接身体に当てないように。
 見事なローテーションである。先発、中継ぎ、押さえが固定され、それぞれが自分の役割を立派に果たしている。で、考えるに、こうやって信頼できるローテーションが確立したにもかかわらず、故障者が出たらもう大変なことだと。田中を始め故障者続出のヤンキースの監督の気持ちがよくわかるね。

 W杯がとうに終わり、ツール・ド・フランスも終わったので、楽しいことが減ってしまったが、しかし、睡眠の上ではプラスに働くのは間違いない。夜に興奮しないもんな。

 さて、ツール・ド・フランスの最終日、第21ステージは、パリの郊外から始まりパリのど真ん中をゴールとする。最後は、シャンゼリゼを中心に凱旋門を3~4回くらい周回するレース。それまでほとんどフランスの田園や山岳を回ってきたのだが、観客が街中にあふれ、お祭り騒ぎの派手なレースである。(お祭りと言えば、総合優勝も決まったチーム・アスタナは、スタートの後には走りながらシャンパンで乾杯していた)。
 もちろんここは平坦、スプリンターの見せ場で、今大会で強さを見せつけているキッテル(ジャイアント・シマノ)がまた競り勝った。これで3回か4回のステージ優勝だ。総合はもちろん、ニーバリ(チーム・アスタナ)

 このレースで、シャンゼリゼ通りでピノーという有力選手が落車する出来事があった。その情報は、アシスト車(各チームは屋根に自転車を何台も積んだ車を走らせ、パンクなどの事故に備える)から伝えられるのだが、それを知った選手が先頭に行き、ペースを落とすように伝言する。初心者の僕は知らなかったが、これがロードレースのマナーのひとつであるらしい。落車といった不運で有力選手が戦えないのはフェアでないという考えなのだろう。そして、ピノーがメイン集団に追いついた時点でまた真剣勝負が再開された。

 これはすごいことだな。もちろん、こういう事故があったにしても残り距離がわずかな場合には見捨てられるのだが、しかし、全体の基調はただ勝てばいいというものではないというわけである。ただ、近年はこうしたマナーを無視する若い選手がいるということで、ベテランは嘆かわしく思っているともいう。
 今回、初めて中国の選手が参加しているが、こういうスピリッツを学ばせるには絶好の場ではないだろうか。現在自転車界では、ある意味自転車王国であり、経済大国である中国のさらなる参画が期待されている。中国から選手が輩出され、ロードレースを視聴する人が増えれば、これはひじょうにいい教育機会になるかもしれない。
 そもそもこういった感覚はアジアには希薄だ。中国、韓国、そして日本もだが、欧米に比べれば超現実主義である。かたちや数字、目に見えるものしか信じない傾向が強い。そして勝ちさえすればいいと。中国、韓国などは徹底している。

 日本はどうしても中途半端だ。マナーにかんしてはおおよそいいが、今度は勝利への執念というか、国を背負うことの意味が薄いような気がする。女子ゴルフの国別対抗戦が終わったのだが、日本は3日目までポイント一位。最終日は各国4人での個人戦で、最初に負けた横峰さくらがへらへら笑い、敗戦インタビューでも笑うのを見て脱力した。前日、韓国選手が敗れた姿とはまったく対照的だった。

 で、ちょっと考えたのは、日本人は戦うということには向いていない国民、民族なのであろうと。それならば、負けるにしてもどう負けるかを考えていったほうがいいのではないか。たとえば、サッカーだが、とにかく汚いプレーは絶対にしないとか。サッカーの世界では”マリーシア”という言葉があって、これは狡猾なとかずる賢いといった意味で、日本には足りないと言われているのだが、そんな苦手なことは身につけることはないと。つねにフェアプレーで世界の尊敬を集めると、そういうのがいいんじゃないのか。実際、試合に負けても席の掃除をして帰る日本サポーターは世界中で驚異の目で見られたし。

 経済的な面で言っても、政治的な駆け引きなどではなく、世界が認めるモノを造ったり、世に送り出してきたから大国になったのである。カジノとか金融的な操作でそうなったわけじゃない。最近、ホンダが開発した小型ジェット機が世界中からオファーが来ているという。いい兆候である。ただひたすら愚直にまじめにやっていくことが日本人には合っている、そうすればふつうに世界をリードできるだけの力がある。それを邪魔しているのが、財界、政界といった、勝てばいいとだけ考える連中なのだと思う。しかも私欲がベースだし。日本人の良さはどこに行ったんだ。

 ブエルタ・ア・エスパーニャが始まるまであと2週間か。何も面白くないなと思っていたが、ケーブルの番組を覗いてみたら「夏目友人帳」というアニメに出会った。前から書店の本棚で見かけてそのタイトルが気にかかっていた。でも、少女マンガの白泉社だし、女子高校生の人間関係でも描かれているんだろうと高をくくっていたのだが、中身はまったく違った。
 主人公は高校生の男子、夏目。彼と妖怪との交流というか、すったもんだというか、いろいろなことが展開される話なのである。もうこれが素晴らしいできで、一話を観るたびに僕は涙を流してしまう。
 これはもうディズニーもジブリも、イーストウッドも及ばないな。「陰陽師」をベースに「犬夜叉」と「子鹿物語」と「となりのトトロ」を混ぜ合わせたようなものかな、ちょっと違うか。とにかく、これは原作のほうも読まねばならぬと、今はアニメをお休みして、そっちから読んでいる。というわけで、練馬のTSUTAYAの「友人帳」はすべて僕のものなのでご了解を。

菅野所長のエッセイ:知れば楽しいことばかり


2014.07.25

 先週は週末に神戸に行った。学会がありまして。

 で、予定通り東さんと待ち合わせて飲みに行ったのはいいのだが、この前は彼が東京に来ていて急に呼び出され、出版社の人も交えて飲んだのが最後。あれは2年前くらいだったか?よく覚えてない。

 とにかく今回は彼の地元、2人で意地汚く3件回ってもうべろべろだったと思うが、そこからまた他に合流したようだった。次の日に起きると、昨夜どうしたのかよく覚えてない。「昨日合流して飲んだっけ?」と訊くと、11時半頃にどこかのワインバーのようなところに来て飲んだという。そういえば、三宮の駅に吉川さんが迎えに来てくれたことだけは思い出したが、そこから先はまるで覚えていない。そこにいた皆が「けっこうしゃきっとしていた」と言うが、実態はそうではなかった。

 まあ、そこに行くまで5時間は飲んでたからなあ。東京を離れると浮かれてしまって、ついつい飲み過ぎる。しかも、なかなか会うことがない人といると楽しくてしかたない。東さんは最近は京都の先斗町によく行くそうで、その楽しさを嬉々として話すのだが、僕にはよくわからない遊びだった。
 こちらはこちらで、同じように最近知ったばかりのロードレースの楽しさを力説するが、彼はそれにはピンと来ない。ま、しかし、気には留めるだろう、お互いに。いつかチャンスがあればということだ。ま、次は8月の熊本だな。

 そのツール・ド・フランスも終盤に入っている。総合優勝はニーバリでほぼ決まりだが、それはおいて各ステージはあいかわらず面白い。とくに15ステージはスプリントステージだが、ロードレースの極みのようなレースだった。
 序盤からずっと逃げまくった選手が2人、タイム差からしてこれはメイン集団にぎりぎり追いつかれるなと思っていたところに突如豪雨が降り出し、後続のスピードが急に上がらなくなった。この地点でゴールまで約40キロ。しかし、残り20キロくらいだったかにまたたく間に雨が上がり、メイン集団が再び猛追を始める。
 そうこうしているうちに、すいすいと逃げる先頭は残り4~500メートルのラストスパート地点にさしかかる。ここで、ニュージーランド人のジャック・アバウアーのアタックが成功してこれの独走。そして、ゴールまで100メートルくらいのところまで来た。集団が後ろから迫ってくる。いったいどうなるのか? テレビでは逃げ切ってしまうようにも見えたが、残りわずか50メートルのところでついにジャック・バウアーが捕まり、結局は10位。タイム差はなしである。

 J・バウアーは、このレースで約220キロも先頭を走っていた。それが最後の50メートルで負けるのである。1万分の2のところ。競馬でもこういう展開はよくある。でも、いろんなことを計算しながら走るロードレースではなかなかお目にかかれないのではないか。と思っていたら、8月末のプエルタ・ア・エスパーニャ(スペインで行うビッグレース。ツール・ド・スペインと思えばいい)の予習をしていると、ゴール前25メートルで後続に抜かれ、6位か7位になったというのがあった。
 うーむ、たまにあるのだな。さぞかし悔しいことだろうが、僕はこういう負け方は好きだ。結果はどうあれ、自分もこうありたいね。最後の最後まで先頭にいたところ、それが自分のゴールと思えばいいのだ。

 第17ステージは、ピレネー山脈、最後に4つの坂が待ち受ける難コース。山岳賞を狙う二人のクライマー、ホアキン・ロドリゲス(チーム・カチューシャ)とラファル・マイカ(チーム・ティンクオブサクソ)が火花を散らす争いを繰り広げたが、途中ホアキンが一杯になり、勝ったのはチームの好アシストを得たマイカ。でも、こいつは相当性格が悪そう。途中、カメラに向かい、余裕をこいてウィンクした。それも2度。これがたいへんに気色悪い。

 さて、このレースで、これまでTVにはちょっことしか映ってこなかった唯一の日本人選手である新城幸也(チーム・ユーロップカー)が、登りで積極的に集団を引っ張った。ラスト25キロでお役ご免となり、結局は60位フィニッシュだったが、新城のおかげでチームのエースはベストテンに入った。
 いつか、ゆるめの山岳ステージで新城が逃げる姿を観たいものだ。けれども、ロードレースというのは選手個々に役割が決まっているので、そうはできないんだろうな。

 と、ツールにばかり夢中になっている現状である。ほとんどの人はロードレースのこと知らないからつまんないだろうなあ。でも、僕も似たり寄ったりの初心者。それでも、ちょっとわかれば面白い。何でもそうだ。知らないからつまらないだけであってね。実は世の中には面白いこと、楽しめることがたくさんある。ロードレースの場合、まず「弱虫ペダル」を読むことね。

僕も、そのうち東さんの遊びにつきあってみよう。

菅野所長のエッセイ:死にゆく鮭は美しい(特別アップ)


2014.07.15

 予想通りドイツの優勝で幕を閉じたW杯だが、それよりも僕はロードレースに夢中になっている。しかも、MVPは、メッシではなく、ドイツGKノイアーのほうがふさわしいのではないのか? 順番をつければ、ノイアー、ロドリゲス、メッシのように思うし、しかもノイアーは僕の中では断トツである。

 特にうなったのは、ブラジル戦だったか、右サイドを抜けてきた相手の近い位置からのシュートを、右手を出しつつ、外れると見切って引っ込めたシーンだ。これが一番すごかった。右手を出せば確実にボールを弾くことはできたが、そうすると相手にこぼれ球が渡ってしまう可能性もあった。ノイアーは一瞬そこまで考えたのか、見送ってゴールラインを割らせた。数々のスーパープレイはあったが、これが一番印象深い。何しろ、7-1の圧勝なのだが、実はシュート数は14×18でブラジルのほうが多かったのだ。もちろん、単純比較だが。

 僕の場合、ツール・ド・フランスはJ・SPORTSで観るわけだが、第10ステージのゲストが「弱虫ペダル」の作者渡辺航だった。この局の解説はいつもちょっと緩くて面白いのだが、このときはさらに楽しかった。ときどき小野田坂道君の話題が出たりね。

 このステージ、最後には前々日までのマイヨジョンヌだったチーム・アスタナのエースであるニーバリが豪脚を繰り出し、ゴール前の激坂をもろともせず勝った。マイヨジョンヌとは、レース経過の中でそこまでの総合1位だけにに与えられる黄色いジャージーのことで、「マイヨジョンヌだった」とはそのマイヨジョンヌを着ていたということである。

 ちなみに、90年代前半、JRAにマイヨジョンヌという馬がいて、これがけっこう強くて重賞を2~3勝したように記憶している。そのとき、いったいどういう意味なんだろう?たぶんフランス語だなと調べ、ああ、そういう意味なの、いい馬名じゃんと感心し、ロードレースに興味ない僕の数少ない知識となった。

 さて、その10ステージ、ニーバリの豪脚にも驚いたが、そこに至る経過がすごかった。とくに、オメガファルマQSのトニー・マルティンは、長い時間一人で先頭集団を引いたが、実は前日も同じように先頭を引いて独走を決め優勝している。この日も、果敢に先頭をひた走ったが、残り20キロからの山岳コースに入るやいなや見る間に力尽きていった。そのヨレヨレに変わり果てた姿は、まるで産卵を終えた鮭を思わせ、一瞬は哀れを誘うのだが、しかし、つねに自分のスタイルを崩さない潔さを思うと何よりも美しく見えた。

 僕はいままで、産卵を終えて死んでいく鮭の姿を哀れとしか思っていなかったように思う。でも、この日のマルティンを観て、これからは美しいと思えるかもしれない。

 こういう見方の変化というのは、自分の人生にとって収穫なことだなあ。そういう点で昔なるほどなあと思ったことがある。それは小学校の修学旅行のときだ。日光の華厳の滝をすごいなあと思ってみているときに、近くで担任と校長の会話が聞こえてきた。校長は華厳の滝を初めて見たらしく、担任が感想を訊いていた。
「いやあ、実に豪快というか勇壮なものですなあ」と校長。
「そうですか、私も最初の頃はそう思ったんですよ。でも、毎年毎年観ているたびにどんどん見方が変わりましてね。今では優雅な羽衣が舞い降りるように見えるんです」

 ほう、と思って思わず滝を見直すと、確かに羽衣が舞い降りるようにも見えなくもない。ま、なるほどねと思いつつ、きっとこの人は何かというとこれを言いたくてしかたないんだろうなとも意地悪く思った。僕はこの担任があまり好きではなかったからだ。生意気でいやなガキだったからな。
 それでも、このことが今も記憶に鮮明なのは、ものの見方というものがいかようにも変わるという認識を初めてもったときだったからかもしれない。華厳の滝と言えば、いまでもすぐにこれを思い出す。

菅野所長のエッセイ:日々の耽溺


2014.07.11

 ほんとに疲れるなあ。先週日曜が休みでないのが堪えたかも。忙しくて、嫌な6月があっという間に終わったのはよかったんだけどね。

 W杯が終われば取り戻せるかな。それにしてもやっぱりドイツは強い。そして空気読まないし。あそこまで点取ることはないのになあ。南米の国ならああはしない。その点ゲルマンの血が薄いエジルはさすがに外したし、DF陣も最後に一点サービスしてあげたが、逆の意味で焼け石に水だった。

 早くも総括すると、今回のW杯は、接戦と言えば聞こえは良いが、要するに泥試合が多かった気がする。南米の気候の中で、ああいうスケジュールではああなってしまうのかもしれない。各チーム満身創痍で、離脱者も多いし。

 サッカーとして一番面白く感じたのはコロンビアだったな。ここにはハメス・ロドリゲスという次代のスーパースターがいるのが大きいが、つまりは近年めっきりいなくなったファンタジスタがいるサッカーは面白いということだ。彼の登場でまたサッカーの流れが変わるかもね。

 ま、決勝は、2-0か3-0でドイツと予想する。アルゼンチンはPK戦に持ち込まない限り勝ち目はないのではないか。ディマリアがいないし、徹底的に守るしかないよね。それでオランダ戦は成功したわけだし。

 それより「弱虫ペダル」の影響をもろに受けてしまった僕としては、ツール・ド・フランスを見るほうが楽しい。少し知識も増えたし、去年の再放送を見てちょっと予習もしておいたのだ。

 今回は去年の優勝者フルーム(チーム・スカイ)が第4ステージで落車に巻き込まれ、負傷。幸い骨折はしていなかったが、この先どうなるのか予断を許さない。
 その第4ステージ、150キロ近くを果敢に逃げまくったフランス人選手ヴォクレールが力尽き、残り数キロの激戦と駆け引きはほんとうに面白かった。チームを6~7枚残して隊列を組むオメガファルマ(チーム名)が優位と思いきや、チームからバレてしまったドイツ人選手キッテル(ジャイアント・シマノ)一人にねじ伏せられた。ここでもドイツは容赦なく強い。

 こういう競技の神髄は「ハラハラ」にあるね。とくに後半は、いつどこで何が起きるかわからない、瞬間を見逃してはいけない感じ。

 そんなことを思ってるまもなく、第5ステージは、激しく雨が降り、古い石畳のコースを5回くらい通らなくてはいけないという、苛酷で意地悪な設定。このステージでフルームがまたもや落車。で、今度はリタイアとなり、総合連覇の夢は消えた。確か第7ステージは待望の山岳コースだったな。これは今日の夜か? とにかく今度の休みは、W杯とツールで大変なことになりそうだ。

 しかし、人間は何かに依存しないと生きられないものだ。と、カウンセラーがそんなこと言っていいのかと思われそうだが、依存が問題となるのは一点集中するからであって、いくつかのことに分散すれば依存とは呼ばれない。銀行口座も何口かに分けてるでしょ。あれと同じで。

 だって、そういうふうに何かに耽溺したり、心を奪われたりしていないと、とても正気は保てない。僕の場合は仕事、競馬、ゴルフ、サッカーそしてロードレース、お酒とたくさん依存対象を持っている。先日、震災級に体と心が震え、痺れるようなことがあって、3日くらいでだいぶ治まったのだが、酒をがぶがぶ飲まないと身体の震えとしびれが治まらなかったものな。でも、治まると言うよりは、麻痺だし、酒ばかりではいけないので、他のことにも耽溺しなきゃと、今度の休みはいつにもましてそう過ごそうと思うのである。

 そういえば、来週は神戸方面に出かけるので、このコラムはお休みになると思います。
何年ぶりかで、東さんと飲むか。

菅野所長のエッセイ:いくつかの予想


2014.07.05

 この間の宝塚記念、逃げるヴィルシーナが気になっていたので、3連単は取れなかったが、3連複もけっこうついたので良しとしよう。予想がわりと的確で、日曜は全体的に負けなかったし、今週は税務署から、払いすぎてた分を還付してくれるという通知も来たしで、最近になくよいことがある。

 というわけでもないが、木曜は予定通りまじめに健診に行ってきた。やはりこのところずっと血圧が高い。それ以外はどうなんだろうか。まあ、この年では良いところなど何もないのだが。健診自体はそんなに時間がかからないが、胃ガン検診の終了後は下剤を飲まなくてはいけないので、結局丸一日つぶれる。

 その間、おなかの具合を気にしながらケーブルで昔のドラマを見ていた。「理想の上司」というやつで、長塚京三主演。部下の若い女の子たちが松雪泰子、石田えり子、木村佳乃という、今にすれば豪華なキャスト。長塚の妻役が僕の好きな風吹ジュンで、このころが最盛期という感じである。

 調べると、このドラマをやっていたのは1997年だった。TCCが始まった頃だから、本格的な不況に入りつつある頃で、成果主義がどんどん導入され、パワハラがひどくなってきた頃でもある。まさにそういった社風の中で、いつも部下を護ろうとして苦悩する上司の姿が描かれる。

 ひょっとしたらこの当時では、まだリアルさが感じられなかったかもしれない。けれども、この5年後、10年後となると、このドラマの持つ意味はまた違ったものになっただろう。それは、もはやこのような上司はイメージにも描くことができなくなっているのではないかということだ。将来の役員候補が部下を護ったがために、出世コースを外されたりすることを、当時の視聴者はまだドラマでの出来事として観ていたのではないか。しかし、このドラマはどこにでもある職場の風景を描いているという点では「半沢直樹」よりもはるかにリアルである。だから、このドラマは何年後かおきに再放送される必要があったのではないかと僕は思う。
 

 先日、どこかの学校で、小学校3年生の女の子が、いじめられている子をかばい、代わりに自分をいじめてと言って、跳び蹴りを食らっていたというのがあった。担任がそれを遊びだと認識していたのは論外だが、しかし、ネット上ではこの女の子は絶賛を浴びている。ほんとは、この場合、いじめている連中に殴りかかるのも正しいと僕は思うが、その辺は穏やかな性格から来るのだろう。現時点では、日本で一番偉い人物と言えるな。国民栄誉賞をあげてもいいくらいだ。かつていた「理想の上司」のように、巷ではこのような子どもも現れているのかもしれない。こういう予想は、希望であって、だいたい覆されるものだが。

 予想と言えば、集団的自衛権の問題で今後僕が予想するのは、自衛官の自主退職の急増である。だって、さっそくアメリカのために、アフガンやイラクに行かされそうだもんな。平和憲法下にあるから自衛隊に入っている人がほとんどでしょ、実際は。戦争をしたがっているのは上の方だけであってね。
 ところが、もはや政権と懇ろになっているどこかの再就職会社があったなあ。自衛官の再就職はまかしてくださいとなるから、それはそれで政権に損はないのかもしれない。自衛官は重器などの資格者が多いから、土建関係からは垂涎らしいし。

 最後にW杯の予想。今日ブラジル、ドイツが勝ち上がり、残る椅子は、ひとうはまずオランダだろうが、アルゼンチン×ベルギーはわからない。僕はベルギーがちょっと優位と見ているが。ブラジルはネイマールが脊椎の骨折でアウト。がぜんドイツとオランダの決定戦の可能性が濃くなった。

菅野所長のエッセイ;W杯観戦記( その② 日本代表の終劇 )


2014.06.27

 日本が予選を突破すれば、W杯はもっと楽しいものだったけれど、予想通り大それた野望だったようだ。やはり初戦がすべて。あの試合、本田ののゴールで先制したまでは望外の展開だったが、その後の本田はボールは取られまくりだわ、ミスパスばかりだわで、ひどいものだった。何となく元気がいいのは大久保だけで、他の選手も動きに精彩を欠いた。

 ひとつには、高温多湿、移動距離の苛酷さの中での調整失敗という見方もあるのだが。
また本田は、ある時期からの異様な眼球の飛び出し、喉元の手術痕から、パセドー病の説が有力だし。そんな状態でも出場してしまうメンタリティ、それを許してしまうチーム状況もどうなんだか。

 マンUではほとんど出番がない香川も、やはりひどかったが、加えて、コートジボワール監督、ラムシのマッチアップが巧みだったせいもある。いつもは左サイドの快足ジェルビーニョが右サイドに来て、香川、長友の日本の左サイドがこれの対応に追われた。今の代表は、この左サイドからの攻撃頼みのチームであるから、これがディフェンスに追われるとどうにもならない。
 現在、日本代表は世界でも決して侮られてはいない。当然よく研究されてもいる。中にはトルシェみたいのもたまにいるが、ほとんどは優れた戦略家である。この点でザックは少々落ち、ラムシの思い通りにさせてしまった。

 ザックは辞意を表明したが、でも僕はそんなに悪い監督だとも思っていない。4年前よりも8年前よりも、いまの代表チームのほうがいいサッカーをしていると思う。方向は間違っていない。けれども、到達するレベルが低かったと言うべきだろう。
 香川がドルトムントにいればとか、本田の病気がなければとかは言ってもしようがなく、
すべては、オシムが倒れた日から、今日の悲劇にじわじわと近づいていったのだと思う。もしもオシムだったら、本田もあそこまでバカなことは言う選手にはならなかったに違いないし、香川の本質を見抜くこともできただろう。

 大久保は確かに孤軍奮闘していたかのように見えるのだが、チームの戦略に合っていたかは疑問だ。W杯前の試合で、青山のロングボールを受けての見事なゴールでアピールし、期待されたが、現実には無得点だったし。

 それで試合を観ながら思い出した。それはトルシェ監督の時代。やはり本番前の試合で、レギュラーではないFW西沢が奇跡のようなボレーシュートを決めたときがあった。この一発によってトルシェは西沢を重用し、トルコ戦という大事な試合に先発させたのだった。
 しかし、サッカーをよく知っているなら、あの西沢のゴールは彼の一生で一回くらいの偶然、奇跡のようなものだということをわかっていたはずである。残り時間5分くらいで使うなら許せるが、スタメンから使えるような選手ではまったくないということも。
 僕は今でもあの試合、西沢さえ出さなかったらトルコに負けるはずがなかったと思っている。

 ザックも同じミスを犯したように思う。コロンビア戦で、MFに青山を先発起用したのはまさにあのゴールの映像がこびりついていたからだろう。人間追いつめられると、たまたまだったことに頼りたくなるものだ。トルシェは単にサッカーをわかっていなかったからそうなった。だからその起用に自信を持っていた。
 一方ザックは、つまりは、腹が据わっていなかったということだ。どの試合もワントップには大迫か柿谷を先発にして、それまでに積み上げてきたサッカーをすべきだったのだ。しかし、W杯という大本番になって、自分自身の不安に打ち勝てなかった。監督にかんする問題はここだったと思うね。

 ま、とにかく、実力は出し切った。今回のチームは、コロンビアの二軍相手ならちょっと優勢に試合ができるといったところだった。
 これからしばらく代表はひどい低迷期に入るのではないか。今回、19,20歳くらいの選手がいなかったのも淋しいし。とにかくDFでいい選手が出てくること、それなしには今以上になれない。

 さて、日曜は夏のグランプリ宝塚記念である。これは人気サイドでしかたないか。⑥ジェンティルドンナ、⑦ウィンバリアシオン、⑪ゴールドシップの3頭に割って入ることができるとすれば、②デニムアンドルビーと⑩メイショウマンボか。でも、もし完全復活なったとすれば、③ヴィルシーナの逃げ残りに食指が動く。

菅野所長のエッセイ;W杯観戦記(その① 予選)


2014.06.20

 日曜のコートジボワール戦。本田の美しかったゴール以外に何も語ることはない。アリンコが巨像に踏みつぶされたということだった。

 しかし、アルゼンチン対ボスニアの試合を観て、日本戦がさらに憂うつな感じのものになった。サッカー通から「ボスニアは強い。アルゼンチンも危ない」と聞いていたが、実際に観るまでは半信半疑。何しろ、出場国の中で唯一の初出場。相手はあのアルゼンチンである。
 でも、それはそれは立派な戦いぶりだった。不運なオウンゴールで早々にハンデを背負ったのだが、試合そのものは互角。前半などシュート数ではやや上回ったか。メッシ擁するアルゼンチンだが、W杯での戦い方はもうひとつなこともあり、ヨーロッパの試合では観られないほどにメッシは潰されていた。それでも後半、前線とのワンツーからさすがなゴールを決めたが、ボスニアも1点を返し(これがW杯初ゴール)最後まで意地を見せた。

 日本と違い、讃えられるべき敗北である。よくよく考えれば、民族の争いからナショナルチームの結成さえうまくいかない国なのである。そこをまとめたのがあのオシムさん。ようやく出場を決めたときには涙を流したという。初出場ながら、実力はアルゼンチンと互角とみた。予選を勝ち抜けば相当面白い。ただし、詰めが甘い。一人、遠藤のようなパサーさえいればいいのだが。でも、日本以外で応援するチームは決まったな。

 ということで、ギリシャ戦。ま、負けなかっただけよしということだな。川島のファインセーブがなかったら負けていたね。いくら優勢に見えても、決定的な場面は日本にはひとつもなかったし。
 しかも、引き分けになったことで、ほんの少し決勝進出に望みが高まった。なぜなら、勝っていたら、それで予選敗退決定のギリシャがコートジボワールに勝つ要素が消滅するからである。最終戦で、日本とギリシャがともに1-0で勝てば、得失点差で日本が決勝進出となるはずだ。
 ギリシャは、自国マスコミのたたき方がけっこうすごい。敗退が決まっていたら、選手たちの心理はサッカーどころではないだろう。昔のコロンビアみたいに。でも、まだ、日本と同じで最終戦に勝てば望みはあるし。

 うーむ、しかし、いくらやる気のないコロンビアでも、日本が勝てるのか? 残り10分を切って、ラッキーな決勝点を取る。こういう展開でないと無理かな。それ以上に、ギリシャが勝つのも難しいのだが。

 何だかんだ言って、FIFAランク46位。そう簡単ではない。終わってみれば、すべては初戦だったなあと、振り返られるのではないだろうか。

 ブラジル対クロアチアの開幕戦での西村主審。擁護する声もあるが、世界レベルの審判の95%はあれをPKにしないだろう。逆にブラジルのスレッジに注意か警告を与える可能性も高い。その証拠に、「これで今大会の基準ができた」とバカなことを言う解説者がいたが、その後の試合を観てもそんなことはまるでない。

 スイス対エクアドルの試合では、同点でもう残り1,2分のところ、中盤でボールを奪いカウンターをしかけたスイス選手にエクアドルがカード覚悟のスライディング。激しく削られたスイス選手は前のめりに飛び、これはファールの笛が鳴ると思いきや、そのまま前方一回転をして立ち上がり、再びドリブルを始めたのを見て、主審はこれを流した。そして数秒後、見事な決勝ゴールが生まれた。あまりに激しいファールだったので、あそこで試合が止まって決しておかしくはなかったが、世界レベルの判断とはああいうものなんだなあと感じ入った。

 まあしかし、誤審は誰にでもある。西村クンも、これを糧にしてもっとよい審判になればいいのだ。そのためにはまず誤審したことを受け入れないとな。
 幸い、クロアチアはまだ突破の可能性を残し、有力である。そもそも強いチームなんだよね。DFバックラインのボールテクニックなどは最高峰と言えるんじゃないのか。

 予選を見る限り、大本命はドイツだな。他は一枚落ちる。注目選手は、コロンビアのハメス・ロドリゲス。今期は、ビッグクラブの争奪戦が予想される。