菅野所長のエッセイ:どこもかしこも


2016.09.23

いやはや、先週末は長崎の佐世保に行ったのだが、ちょうど台風が向かっている時に当たり、天候は大荒れ、帰りの飛行機が飛ぶのかも怪しまれた。何とか飛んだものの、大幅に遅れ、最終便なのですごく遅くなってしまった。
佐世保ってところはけっこう時間がかかる不便なところなんだよねえ。まあ、長崎はどこもそうだが。しかし、それを考えると、ハウステンボスが再生したのも不思議だ。よほどのマジックがあるのだな。

というわけで疲労も激しく、いまだそれが抜けない。昨日が休日で、それは幸いだったのだが、今日も階段がつらい。

最近は、何の用事もないのんびりとした旅行というものに憧れる。しかも近場で。もうずっと、学会か研修とかの用事があって、それが旅行代わりになっている。9月はそういうのが約10日あったな。新幹線や飛行機は嫌だ。でも、今年はあと一回くらいかな。ゴルフオンリーというのも一回。それくらいなら体力も持つだろう。明日もちょっと遠くに行くが日帰りだし。

TCCは20周年だが、来週末は法研70周年の懇親会があって、翌日には記念ゴルフコンペがある。これは埼玉なのでよかった。車で1時間くらいで着くところなんだよね。

きっと商品も豪華だと思うのでがんばりたいところだが、僕には右手バネ指の問題がある。この間、中指と薬指にバンデージを巻いてみたら、だいぶショックを和らげることができたので、できることはできるけど、前の状態に戻るわけでもないしね。
コースは、調べるとなかなか難しい。でも、たまたまだが、このところかなり難しいところでやってるからね、僕も。そこは有利かもしれない。そういうわけで、「馬券」は自分に賭けてみた。問題は体力のほうだな。いつも後半バテバテになる。

時間の経過とともに豊洲の真実が明らかになっていく。結局安全よりも安上がりを優先したというのは、行政のやることとして大問題だが、ときの知事が石原慎太郎だけに妙に納得。ハナから専門家の言うことなど聞く気がなかったんだね。
そして、移転反対派も賛成派も等しく裏切られたものとなった。僕は移転反対だったが、どうもその急ぎようには、安全に勝る利得が絡んでいると睨んでいたからだった。

今回の水質検査も、都の発表だとシアンとか鉛とかは検出されない。このからくりは簡単で、検査を委嘱する会社が、委嘱側に有利になるように結果を操作するからだ。何でかというと、また仕事をもらうためなのである。あそこの会社は自分たちに都合のいい結果を出してくれるから次も頼もうとなる。あそこの会社は厳しい基準でやっていると思われると経営が成り立たなくなる。建設する側と土質地質関連の検査会社はいつも持ちつ持たれつなのである。これってほとんど犯罪だよね。で、自分の会社がそういうことに荷担しているのが嫌で転職した人を僕は知っている。実際のところは、汚染に対する検査っていうのはものすごい精度らしい。以前そういう研究をしていた人がいて、「水を張ったプールに、何かの液をスポイトで一滴垂らしただけでもわかる」と言っていた。

ただし、いまさら豊洲を白紙に戻すわけにもいかず、安全のための修繕工事をするしかない。となると、だいたい1年は先だな。

それにしても、人は、目先の利益を求めているとこういうことになるというのを、いつになったら学ぶのだろう? 福島の原発も先日の大雨で地下水が地表まで達してきたということだし。
地方議員の政治活動費の不正受給っていうのも、臆面もなく「ほとんど飲み代に使った」とか言う奴もいて、まさに連中にとって生活費ならぬ「政活費」となっているようだ。まったくどこもかしこも困ったものである。

菅野所長のエッセイ:穏やかな海は


2016.09.10

今週は大きな学会が横浜であり、それに合わせてのゴルフが一回。もう30年くらい続いているコンペであるが、調子悪かったなあ。おまけに帰りには道に迷ってしまい1時間くらいで帰れるところを3時間かかってしまった。そういうわけで、昨日と今日はクタクタである。

学会のほうは、やっぱり昔と変わらずで、斬新な発表など皆無。僕が司会したところも、まあみんなマジメに取り組んではいるんだけど、だからどうしたの?というレベル。情けないな、この業界は。先週の話じゃないが、狭い世界でものを考えているんだなあと。

「おだやかな海では良い船乗りは育たない」。若い人はもっとたくさん仕事しなさいね。臨床のキャリアとして、最低10000から15000ケースはやらないと基礎はできないのだ。たぶん、今は昔と違って心理士がたくさんいるから、個々の仕事の量も減っているのかもしれないな。若いうちにたくさん経験を積めないのは不幸なことだ。

で、来週はまた学会で九州のほうへいく。今月は出かけることが多い。疲れないようにいろいろ工夫しないといけないね。いちおう、療養中のT氏にリハビリ用に贈った小さなバランスボールを自分でも使っている。乗り物に乗っているときに腰に当てておくとなかなか楽なのである。

そういえば、学会で久々にK氏と会ったが、心臓手術の手術痕が痛々しい。ところが本人は心臓の手術後は、血圧とかGDPとか、検査の数値がひじょうに良くなってえらく調子がいいという。僕はバネ指でゴルフに苦しんでいるが、「心臓手術すればバネ指も治るよ」とトンデモなことを言う。まあとにかく、彼の場合、手術によって心臓が正常に機能し、そこからホメオスタシスが働くようになったということなのかもしれない。人体は神秘だ。

今朝やっていたテニスの全米オープン準決、錦織は残念だった。見るからに疲れていたな。しかし、今回は準々決勝でマレーに勝ったから上出来である。たとえ、決勝に行ってもジョコビッチには勝てないだろうし。
今日はプレミアで、マンチェスターダービーがあるんじゃないだろうか。斬新な補強をした今シーズンのユナイテッドは面白い。

学会中に行われたW杯予選のタイ戦は観られなかったな。ここで負けるようではどうしようもないから観なくてもいいよねと、皆で飲んでた。結果はやはり勝ったが、今予選の最大のポイントは、10月11日のアウェーのオーストラリア戦である。これに勝てればだいぶ希望はつながるのだがね。
あまり放送を観られないのだが、ブエルタ・ア・エスパーニャは、ツール、五輪と連戦してきた王者フルームが苦戦中で、ライバルのキンタナにかなりタイム差をつけられていた。やはり、フルームと言えど、そんなスケジュールで勝てるほどグランツールは甘くないと思ったのだが、昨日のタイムトライアルで圧勝。1分20秒くらいまでに縮めてきた。 でもあと2ステージしかない。まずは今夜の長距離山岳ステージで爆走するしかないのだが、今回はスカイのアシスト陣が大不調なのである。普通に考えればキンタナの逃げ切りが濃厚だ。フルームが負ければ、リオ五輪出場はとくに余計だったということ、そもそもツールとブエルタを連勝するのはとてつもなく難しいことをまたもや実証してしまう。

でもでも、それに挑戦したフルームはやっぱり偉い。僕も見習わなくちゃ。そして荒海に出よう。

で、来週は出かけるので、このコラムはお休みです。

 

菅野所長のエッセイ:自分の世界を広くすること


2016.09.03

今週は木、金と名古屋へ出張。アジア予選はホテルの部屋で観たのだが、その前に懇親会があって酒を飲み、疲れもあってか、不覚にも前半の20分くらいで寝落ちしてしまった。でもおかげで不愉快な思いをしなくて済んだらしい。

UAEは日本戦の前にヨーロッパで2ヶ月の合宿を張り、W杯に出られたら褒賞として約50億円がチーム全体に渡される。勝つためなら何でもやれる国である。審判を懐柔するくらいはわけない。ま、しかし、これも世界のサッカーだ。とにかく戦前の予想通り、この4年でDF陣にテコ入れできなかった今回は厳しい。

9月はいろいろと出かけることが多いな。来週は学会、中旬にも学会があって休む日が多い。そうなると面接にしわ寄せが来るので、それはそれで大変なのだが。少しでも涼しくなってくれれば、出かけるのももっと楽なのだがね。

ちょっと前の話だが、TVで観たハナレグミというバンドの「深呼吸」という曲が少し気になってCDを2枚買ったところ、TVで聴いた曲以外はまったく面白くなかったことに愕然とした。後から知ったが、その曲は最近封切りされた映画に流れる曲で、監督自らのオファーによるものだったらしい。それで何となく考察した。

たぶんそれまではスタジオやライブの箱くらいが彼らの音楽の広がりを示すものだった。つまりひじょうに狭いところにいた。だから、以前のCDは、マイナーなバンドにはよくあるナルシスティックな作品ばかりで聴けたものじゃないと僕は感じたのだった。

しかし、映画となると、不特定多数の人が聴くことになる。自分たちのことをよく知る少数のフアンが対象ではなくなる。それを思ったときに、これまでのようなものではなく、もっと広がりのある音楽を創ることができたのではないかと思うのである。

より広い世界に自分を置くこと、それはたぶん大事なことだ。半径5メートルくらいの世界に生きる人は、ほんの小さなことにも神経を尖らせ、不満を持ったり怒ったりしているが、それはひとえに生きている世界が狭いことによる場合も多々あろう。ネットの世界は、それこそ世界につながっているというが、多くの人は身近で同質な人間間のFBやらツィッターやら、実はものすごく狭い世界に身を置いているのである。「ネットの住人」とはまさにそのことだ。いろんなことを見たり、経験したり、ネット社会、ゲーム社会ではそういう経験が乏しくなるので総じて自分の世界が狭くなる。

スマホを断つための子どもの合宿というのがあって、たまたまTVでその様子を見たのだが、ほとんどの子どもはスマホに触れなくなり、皆で遊ぶことを楽しんでいた。そういう機会が減ってるんだろうな。世の中にはゲームなんかよりも面白いものはたくさんあるのだが、それを提供できないことにも問題ありか。ちなみにポケモンGOは、アメリカでは1週間でピークが過ぎた。日本ではどうなんだ? 9月になってもやってる奴なんかいるのか?

ところで、今のところ新都知事は予想以上によくやっている。ぼくはかなり見直しているのだが、たぶん反小池だった人もたいぶそう思っているのではないか。
何というか、格負けしないというかね、組織委員会の森とかにはぴしゃりとやって欲しいね。何ならクビにするとか。何でも五輪組織委員会の予算のほぼ100%を都が出しているというのだから、それくらいのことをやってもいいわけで、森がヘイコラするのが本筋だろうに。築地の移転問題を保留にしたのも筋が通ってるしね。
とにかく、いまのところだが、都民の選択はとても正しかったわけだ。

菅野所長のエッセイ:リレーの教訓


2016.08.26

オリンピックが終わり、今週印象的だったのはサッカーだな。

五輪決勝のブラジル×ドイツを観ようと思ったら、ほぼ同時刻に裏でリーガ・エスパニョーラの放送。セビージャに移籍した清武のリーグデビュー戦だ。困ったが、五輪のほうが膠着状態で内容ももうひとつなので、おもに清武のほうを観た。
セビージャはドイツのハノーファーとはすべてが違うビッグチームだが、清武はスペインのほうが合っているようだ。ハノーファー時代のように王様じゃないけどね。しかし、先発フル出場。アシスト1、ゴール1を決めてみせた。同じく新加入のバスケスとの相性もいい。
しかし、6点取って勝ったのはいいが、エスパニョールに4点取られるようではいかんね。こんなことでは、バルサ、アトレティコ、レアルの3強を崩すまでにはいかない。まあ、清武が無事にアピールできたから良しとするか。ポジションは右サイドだが、中央のポジションでも使えることもわかったのではないかな。

火曜日は、寝ようとおもってたところにプレミアの中継。レスターとアーセナルという昨シーズンの1,2位の対決である。岡崎先発なのでこれも見逃せない。仕事が何だ。
久々にじっくりと観るプレミアはたいへんに面白い、展開が速いから時間があっという間に過ぎる。
昨年よりも手薄なメンバーとなったレスターだが、例によって岡崎は献身的によく動いたが、まだ好調というわけではないな。しかし、苦手なアーセナルとドロー。初戦の敗北は岡崎を先発から外したのがいけなかったと監督が反省した結果だろう。

一方、オリンピックはPK戦となり最後はネイマールのゴールでブラジル初の金メダル。この千両役者は勝ったと同時に男泣き。キャプテンとしての重圧はさぞかしと思わせた。 ブラジルが苦戦した理由は、個々の選手はすごいが、チームとして機能しなかった点にある。昔の巨人みたいなものだね。メンバー的にはどの試合も3-0以上で勝てなければおかしかったが、大会前に全員が揃って試合をしたのが一回くらいでは、どうしようもない。だから予選で負けてもおかしくはなかったのだ。

いい選手ばかり集めても勝つとは限らない、これが集団競技というものである。

そのことを最も知らしめたのが、陸上400Mリレーだ。一人も100M決勝に進めず、一人も9秒台がいない日本がアメリカを抑えての銀メダル。予選を観てまた銅メダルは取れるかもとは思っていたが、まさかアメリカに勝つとはね。今回世界が最も驚愕したのはこれだったかも。

こういう戦い方が日本にふさわしい戦い方である。一人一人の力は小さくとも、みなが力を合わせれば大きな力に対抗できる。企業、組織にいつも僕が言ってることなんだけどね。サッカー五輪代表は予選敗退だったが、結果的に見るとあの組はレベルが高く、FWの久保抜きでいい勝負をしたのはチームとして機能していたからであろう。でもオーバーエイジの人選、DF塩谷、藤春は大失敗だったね。もしもの話だが、長友がいれば予選は突破できていたのではないか。
数日後、A代表はいよいよW杯アジア予選が始まるが、B組は韓国、オーストラリア、UAEとか強豪揃いで、本当に日本危うしだ。突破の可能性は35%くらいか。センターが槙野と吉田、森重ではどうしようもないしな。守りが心配。GKは川島じゃなく、西川が絶対条件ではないか。今年いいのは香川だ。本田中心でなく、香川、清武、岡崎の連動に期待だな。そしてあの400Mリレーをお手本にして、弱者の戦い方をして欲しい。本田はもちろんいい選手だが、つねに強者として闘おうとするんだよね。

400Mリレーは、ボルトがいない東京は確かに面白い。なぜなら、今回は、そこにいるはずの17歳サニブラウンが故障でいなかったから。サニブラウンはジュニア世界選手権でかつてのボルトの記録を塗り替えたとんでもない少年である。年齢的に、東京ではサニブラウン、ケンブリッジ飛鳥、桐生の3人が年齢的にいいし、ボルトはもういないしで、今から楽しみだなあ。

さてその東京だが、リオの閉会式のTOKYOアピールは珍しくもなかなか良かった。ダサイことやるんじゃないかと心配だったんだよね。それからやっぱり、あそこで旗を振るのが舛添じゃなくて本当に良かったと思わない? 多額の選挙費用は決して無駄じゃなかった。都民は、国民は、尊厳を失わずに済んだのだ。ほんとに金じゃないよな。
しかし、安倍の登場はないな。建前にすぎないという向きはあるが、オリンピックと政治は関係ないんじゃないの? あれは他の誰かで良かったんじゃないの。世界的に知られ、オリンピックの場でということなら、今現在は錦織圭。あるいは世界が認める”キング”内村航平だろう。マリオの格好で登場し、バク転したら内村だったとかの演出なら最高だったかも。

しかし、大きな問題は音楽だ。先日、音楽好き同士で出た話もこれだ。ブラジルはサンバがあって、徹底的にこれをやれるからいいが、日本にはそういうものがない。日本的だからと三味線の吉田兄弟とか出さないで欲しいし。布袋も嫌だぞ。
ということで真剣に討議した結果、現在日本でワールドワイドなミュージシャンと言えば、ベイビーメタルしかない。が、4年後は無理かな。パヒュームも同じ。そこでわれわれのなかで結論を得たのは、永遠に年を取らない初音ミク。少なくともそういうバーチャルなスターだ。それと機械的な音、これが今もっとも日本的なもので、世界に通用するものだな。
極私的な意見ではPUSHINがいいと思うがね。日本一の歌手はPUSHINだと、僕は信じて疑わないからね、頑迷もいいとこだが。
さて、あしたは一年で唯一仕事がらみのゴルフである。右のバネ指はどんどん悪くなっているし、体力的に不安だしで困っているのだが、不安解消のために電車で行き、前日泊とした。朝早く一人で車なんてとても自信がない。で、今夜千葉のほうに移動します。

菅野所長のエッセイ:追っかけ宣言


2016.08.20

ついつい夜更かししてしまうオリンピックウィークだけど、もう終わるみたいなのでホッとしている。

今回はボルトの3大会連続金メダル3個に尽きるかな。もはや不滅の記録かもしれない。それから男子400Mであのマイケル・ジョンソンの記録が破られたこともハイライトだろう。しかも大外8コースだったから驚きだ。やはり陸上だな、オリンピックは。

僕がもっとも心を動かされたのは、女子5000メートルの予選だった。ある組に出た20歳の上原美幸はいきなり他の選手を50メートルくらい離しての大逃げを打つ。それを見ていた僕は「何てバカなんだろう」と思った。途中バテバテになって最後はきっと最下位だろうと。競馬では騎手の制止がきかないでそういうことがときどきあるが、馬だからね、自分自身ではぺ-す配分などできない。
でも人間なんだから、このペースならどうなるということくらいわからなくてはいけない。僕は積極的な選手は好きだが、勇気と無謀は違うぞと言いたかったわけだ。かつてマラソンの増田明美が無謀にもそうやって惨めな姿をさらしたことがある。あれと同じ、まだ若いからバカなんだなあと。

で、案の定、3000メートルくらいで後続につかまる。ああ、これで終わりだと思ったのだが、それでも先頭集団にくらいついているではないか。しかも、そこから半周くらいしたらまたじわじわと上がっていって、再び先頭に立ったのである。いやあ、これは驚きである。ここまでやるのか、僕はひじょうに失礼だったなと心の中で詫びた。ここまでやってくれるならもう最下位でもかまわないぜ。残り周が少なくなり、ペースが上がる。上原が再び先頭に立っていたのはごくわずかな時間で、またもや先頭集団の後ろになるがそれでも必死で食らいつく。結局ゴールでは6位。上位5人は無条件で決勝進出だが、あとはタイム。はたしてタイムで拾われ、上原は日本選手で唯一決勝に残ったのだった。

その決勝は15位だったみたいだが、まあ実力だからしかたない。まだ20歳、もうちょっと無駄のないフォームに改良できれば先が楽しみな人材である。マラソンもあるし。何よりハートがいいよね。僕は実業団とか全日本とかの大会でまた上原を観たいなと思ったのだった。もう追っかけになろうかな。と思うくらい心が動かされたんだよね。

さて、金メダルラッシュと言えば女子レスリングだが、吉田沙保里の負けた後の姿はみっともなかった。内容的には完敗だったし、泣くようなもんじゃない。人事を尽くした人間の姿とは言えないな。
そもそも、僕は以前から伊調馨のほうがすごいと思ってた。伊調のほうは4連覇しても淡々としたものだったな。吉田と違って目立ちたがりじゃないのでマスコミにも取り上げられないが、現実に4連覇したのはこっちだし、やっぱり上だよね。吉田は亡き父がとかいうけど、伊調にだって亡き母というのがあって、そもそも人はいろいろ背負ってるんだよね、自分だけじゃないってえの。晩節を汚すとはまさにこのこと、3連覇でやめておけばよかったのだ、

あと、バドミントンの女子ダブルスの金もなかなかの出来事である。
もともと日本はバドミントンは弱くはない。しかし、世界一になるような実力もなかった。そのためにバドミントン協会(連盟?)は、選手が所属する実業団単位での練習、強化などをあらため、垣根を取っ払った体制を約10年前から敷いているのだそうだ。つまり、日本のバドミントンのための長期計画。あるときからの体操協会と同じである。実業団同士で争うのではなくて、全体が強くなることがバドミントンの普及拡大につながるというものである。これはまったく正しい。北京あたりからベスト4くらいに入ってきたのが今回やっと結実したわけである。選手にも協会にもおめでとうと言いたいね。

で、、五輪が終わるのと同時に始まるのが、最後のグランツール、ブエルタ・ア・エスパーニャである。この前のツール・ド・フランスがあまりにも面白すぎたので、その点どうかという懸念はあるが、夜更かしにはならないのがありがたい。

菅野所長のエッセイ:悔いのない人生


2016.08.12

何だかんだ言ってもやっぱりオリンピックは面白いなあ。ふだんは地上波を見ないが、BSと駆使して観られるだけ観てしまう。陸上が始まってないにもかかわらずだ。

日々楽しみも癒しもない生活、ツールがない今はオリンピックが心の支えだ。

予想外の日本の踏ん張りだが、圧勝と言えたのは、男子柔道73キロ級の大野と女子水泳200M平泳ぎの金藤だな。体操の内村の個人総合はどうひいき目に観ても負けてたような気がする。まああれが採点競技というものの特徴だし、しかも、ああいうことがあったからと言って内村の価値が下がるわけでもない。とくに最後の鉄棒の演技はほんとうに見事なものだった。

前にも言ったが、日本体操協会の昔のすばらしい英断があり、その後内村のような絶対王者が生まれ、白井が生まれ、団体の金もある。ほとんどの組織は目先のことを追求し、長期的な視野を持てないわけなので、ほとんどの選手たちは自立と自律の自覚を持って日々励むしかない。それを思うと、今回のオリンピックで僕が最も評価しているのは水泳の金藤理絵だ。今のところ。

10代から20代そこそこが中心の女子水泳にあって27歳、4年前、選手としては充実期に当たるはずなのに、ロンドンの代表さえ漏れていた。そして平泳ぎには渡辺香生子という伸び盛りのスターがいた。この渡辺と比較するとスポール選手としてのステージがまったく違うことがわかる。200メートル平泳ぎにおいて、渡辺は15歳で五輪出場、準決勝まで進み、去年は18歳で世界選手権優勝を果たしている。金藤はいつも8歳下の渡辺の後塵を拝していたのだった。

ロンドンで選に漏れ、本人は引退を考えたことだろう。そこから立ち上がり、今回五輪で圧勝するまでの過程はどれほどのことだったろうか。一方渡辺は、レース後のインタビューのたびに泣いてしまい、スポーツ選手としては驚くべきメンタルの弱さを露呈した。それは悔し涙というものではなく、その辺の女子中学生が泣いて許してもらいたいという種類のものだった感じがある。そのあまりのメンタリティの脆さに、金藤との決定的な違いを見た。金藤はインタビューでまったく泣かず、喜びを爆発もさせず、呆然としているかのように淡々としていた。

彼女にとって、リオでの金メダルはたぶんゴールではなかったのではないか。4年前、厳しい競技生活にあらためて入っていったその動機とは、大まかに言って「このままでは悔いが残る」ということではなかったかと僕は推測する。たぶん彼女にとって、悔いが残りさえしなければ、結果をどういうものでもよかったのかもしれない。そして、僕は何よりもそういう生き方が好きなのである。

柔道とか、体操とかは日本のお家芸的な種目だが、今回びっくりしたのはカヌーで銅メダルがあったことだ。これは画期的。陸上の100,200でメダルを取るようなものではないか。きけば、19歳のときにスロベニアに渡ってカヌーをやっていたんだそうだ。それもすごいな。
そういえば、今回の目玉は、陸上男子100メートルでのボルトとガトリンの対決ではないか。これがいちばん楽しみ。ボルトはまたもや3冠なるのか? 200はいけそうだが、100とリレーは危ういような感じだが、はたして?

菅野所長のエッセイ:眞紀子の再来


2016.08.06

このところ色々なことがあったな。

すい臓ガンになった友人の手術が成功したという連絡は何よりめでたい。すい臓ガンは生還率がひじょうに低い。本人もあきらめかけたというが、やはり持ってる人は違う。

僕は健康には無頓着だが、疲れから風邪を引いてしまったようで、喉と鼻がやられている。学会があり、宴会や炎天下でのゴルフがよくなかった。夏風邪はバカが引くとか、バカでも引かないとかいうが、どちらにせよ圧倒的なバカぶりを証明したのかも。薬を飲んでからだいぶ楽になったし、今日は、咳がまだ残るけど、明らかに体調、気分が上向きだ。それだけ昨日までは具合が悪かったんだなと思う。

そうこうするうちに都知事選も終わった。その直前に僕が思っていたのは、やっぱり今回も不毛の選択ではあるなということだった。

結果、小池百合子の圧勝だったが、都民の半分は女性だし、パフォーマンスは他の二人と比べて優れているしで、終わってみれば順当だったのかもしれない。最初はダメだろうと思っていたけどね。しかし、選挙が進むにつれ、小池はあの田中眞紀子を彷彿とさせる迫力を身にまとっていった。自民党を離れ、敵にし、「私には戻るところはありませんが、目指すところはあります」といった台詞はまさに田中眞紀子のそれである。
それに都民の多くは自民も民進にもNO!を叩きつけたかったわけである。そうなると小池以外に選択肢はない。僕は小池が都知事としていいのか疑問だが、とにかく増田にならなくてよかったと思う。

ちなみに、増田は石原慎太郎のせいでかなりの票を失ったことだろう。貧困な精神の持ち主は貧困な言葉しか持てない。石原慎太郎の侮蔑発言の底にある精神性は、おそらく相模原の大量殺人事件とつながっている。この事件は、ヘイトスピーチなどの差別主義、優性主義の台頭の延長にある。そして尾田栄一郎が描いたように、その強烈な差別意識には根拠などない。
石原もまた、「厚化粧」の何がいけないのか、「大年増」の何がいけないのか説明できないだろう。都知事時代、息子を海外視察に連れて行ったり、その作品を使ったりの何がいけないのかを説明できないように。ま、本人はサービストークのつもりなのかもしれないが、でもその精神は卑しいよね。

ちなみに、リオに行く小池百合子ご一行の予算は5人で1000万。舛添はこれに6900万の予算を計上していたとか。やはり節約しようと思えばいくらでもできる。その潤沢な甘い汁を吸えなくなるんじゃないかと、都議連はまっ青だろう。

この金の使い方は「薄化粧」だと新聞がうまいこと書いていたな。

そのオリンピックだが、ロシア選手のドーピング問題は奇妙な結論となった。IOC会長とプーチンとの間にどのような取引があったのか、かなり暗い闇が立ちこめている感じだ。

もっとも嫌なことは、このドーピング問題を告発した選手、ユリア・ステパノアが出場できなくなったことだ。この選手は、ロシアではなく、オリンピック旗下の選手として出場できることになっていたのだが、プーチンが「絶対出すな」とごり押ししたのであろう。これを呑んでしまうバッハ会長とはいったい何なのだ。もともとプーチンとの蜜月ぶりは知られるところだが、あまりにあからさまな圧力はやはりKGB的だ。

KGBが大統領だから、国民も国民。翼賛マスコミに乗せられ、ユリア・ステパノアを裏切り者と批判する。で、ロシアにいられないユリアは世界を転々と逃げ回っている状態。 しかも、今年の2月には、ロシアの反ドーピング機関(RUSADA)の幹部2人が謎の死を遂げている。ほぼ中国、北朝鮮のようなありさま。この国は何十年経っても「寒い国」のままだな。

企業でも行政でもそうだが、告発者は守られなければならない。それが組織を健全化するあり方だからだが、ロシアや中国、IOC,FIFAなど、健全化からはほど遠いし、近年の日本もそっちのほうに進んでいる。そういうのが嫌なんだよね。そういうことで、旧体質を受け継ぐ増田が当選しなかったのはよかったなあと思うのである。

菅野所長のエッセイ:悲しき能力者


2016.07.22

蒸し暑い日が続く。天気予報を見るときには必ず群馬の様子も調べるが、東京と同じであまり降雨はないようだ。本当に空梅雨だったなあ。今年の水不足はちょっと深刻かもしれない。

都知事選の期日前投票は前回の1,5倍なんだそうだ。さすがに今度はまともな人間を選ばなければという意識が高まっているようだ。

で、どうなのか? 一見は実直そうに見える増田寛也だが、岩手時代はすべてファーストクラスに乗っていたとか、さすがに霞ヶ関の高級官僚臭は拭えない。都知事がファーストクラス乗るくらいはいいとも思うが、貧乏県ならビジネスで十分だったんじゃないの。やっぱり霞ヶ関時代からずべて公用車とかハイヤーだった癖かね。東京一極集中を批判していたのも地方の繁栄を思ってではなくて、まあポーズだったんだろうね。そもそもこの人東京の人だし。だから何言ってもリアリティがない。当初予算の4倍以上となっているオリンピック関連でも、この人が減らすなど不可能な感じ。

増田、小池が言っていることはみな抽象的で、きれい事にしか聞こえない一方、鳥越俊太郎はたとえばオリンピックの諸施設は仮設の建物でも十分だと言い切るし、福祉行政にしても数や設備だけ整えてもダメだと強調する。こちらのほうがリアリティがあるんじゃないか。当初はなんとなくぼけぼけな感じだったが、日が進むにつれて覚醒してきた感じがあるね。増田優位と思っていたがこりゃわからんな。

ところで、死ぬまでには「ワンピース」の最終話を読みたいものだと願っている僕だが、まだまだ終わりそうもない。ほんとに長いな。
最近では、メンバーの中で唯一明らかでなかったサンジの過去がわかってきたのだが、実はかなり前にその伏線が張られていた。気になって古本を買って確認すると、それは14年前のことである。ノーランドが先祖への複雑な思いを語るときに、やけにサンジが深く傾聴しているなあと、僕は少し違和感を覚えていたのだった。その伏線が14年後に回収されるなんて! ほんとにこの作者と来たら。

僕もたくさん本を書いてきたが、こういった類の構成力には決定的に欠けている。いつも行き当たりばったり、構成を考えるのが面倒くさいのである。飽きっぽいのでいつも単発を重ねるだけだな。長いスパンで物事を見ていく力がないんだろうね、だから計画性というものがない。今日と明日、今日と明日、一歩ずつ歩くだけ。
でもそれが自分なんでね。しかたない。

とは思っても、ここのところ疲れてしまって何もできない日々が続く。無気力だなあ。

最近では、きっと僕は幼い頃に知らずに悪魔の実を食べてしまったのではないかと、バカなことを考える。たぶんそれは「ダメダメの実」だ。そんなに本を書いたり、センターつくったりしてるんだから、全然ダメじゃないでしょと思うだろうが、それはある考え方から来る見方にすぎない。なぜなら、僕には蓄積という感覚があまりないからである。すべては過去のことなんでね、今がダメだと全部ダメ。良くも悪くも刹那的なんです。

そんなダメダメでも何とかやっていかなければならないわけで、とりあえずは暑い夏が早く過ぎてくれと願うのだ。
で、今日はこれくらいが書く限界だな。来週は出かけているのでこのコラムはたぶんお休みである。

菅野所長のエッセイ:極彩色なツール・ド・フランス


2016.07.15

リオオリンピックでのヨットレースはかなりやばいらしい。会場となる海の汚染度が半端ないらしく、人体にはかなり有害なんですと。そんな危険を冒すことないと僕は思うのだが、選ばれた選手は絶対出ると言う。まあ、オリンピックはそれだけ重要な案件なんだろうが。意地ってやつか。

晩年を汚すことになるんじゃないかと余計な心配をしていた宇都宮健児だが、最終的には出馬断念。最後まで意地を張っていたがね。さぞかし無念だろうが、意味のない戦いを避け、全体のために為した決断は立派なものだ。小池百合子とは全然違うね。でも政治の世界ではこういう善人は勝てない。

こうなると増田と鳥越の争いかな。女性票を集める意味では小池も侮れないけど。体勢は増田有利か。鳥越もまた善人なので正直すぎるところがあり、それが頼りなさに映っている感じ。増田は経験豊富と言われているが、所詮は建設官僚。ゼネコンとのコネ頼りに落下傘で岩手に降り立ち知事をやったわけだが、公共事業を派手にやるだけしかできず、借金をたくさんつくって終わった。都知事が増田になれば、オリンピックを始め、土建屋だけが儲かることになるだろう。そんなことで経済が活性化するなんて幻想だ。

そもそも喫緊の課題はハード面ではなくて、全国最悪の出生率をあげることとか、そのために子育て環境を整備すること、総じて福祉と教育だよね。そういうところは、理念的に鳥越のほうがマシだろう。しかも、自分はこういうことをやりたいと言っておけば、優秀な職員がやってくれるわけで、お御輿でもいいわけよ。もはや年だし、何かあんまり頭も回ってない印象だが、派手な公約をぶちまけるよりいいのではないか。

ユーロ2016は大穴ポルトガルの優勝だった。予選グループは3位。ワイルドカードからの優勝とはびっくりである。決勝は夜中というか朝方観てたけど、ロナウドが負傷退場したあたりから眠気に負けてしまった。ロナウド抜きでよく勝ったものだが、フランスのシュートがバーやポストに当たりまくりで、まあついてたな。フランス国民はがっかりだが、これでツールに専念できるかも。

第8ステージで優勝したフルームがマイヨジョンヌ(総合1位)を獲得したツールだが、これまで最高に面白かったのは、意外や、第11ステージの平坦コースだった。
残り12キロくらいまでちんたらとレースは流れ、ティンコフ、スカイといったビッグチームが前を引き、キッテル、カヴェンディッシュ、グライペルなどのスプリンターがつかず離れず満を持しているかたち。
これはいつものことで、こうしたステージでは、フルーム、キンタナなどの総合勢はステージ優勝など眼中になく、ライバルに秒差をつけられないようにゴールすることが目標だ。これが総合優勝に勝つための当たり前の作戦なのである。だからこっちもそれを予測して中継を観ている。力が入るのは残り1キロからのスプリント戦だと。
しかしこのとき、そうした思惑とはまったく関係ない選手がいた。怪物サガンである。このままでは生粋のスプリンターには勝てないとわかっている彼は大博打にでた。残り11キロあたりで猛然とスパート。彼のアシストも遅れじと追う。このとき僕は「ここでやるか!」と驚きつつも、サガンが勝つためにはこれしかないかとも思った。後ろのスプリンターたちは、ここで無理して追いかければ、最後の足がなくなり勝ち目はなくなるからと、出るに出られない。これが残り5,6キロならともかく、まだ10キロ以上あるしね。だからこそサガンにとっては大博打だが、来るなら来いとスピード耐久レースに持ち込んだ。純粋なスプリンターは一瞬の足はあるが、ロングライドは向かないのでね。
ところで、サガンのダッシュよりなお驚いたのは、ほとんど迷いなくマイヨジョンヌのフルームも猛然とサガンについて行ったことである。これもまた大博打。全ステージでフルームをピッタリマークしていたキンタナは来ない。キンタナはキンタナで平坦のダッシュがきかない選手だから。ついて行ったのはフルームのアシストであるトーマス。

そうやって予想外の4人が逃げ始めたわけだが、ティンコフ、スカイの、ビッグチームの連合。実力者がお互いの思惑を理解し、「協調」(敵味方なのに協力し、先頭を交代交代で走る)するのだから、これは速い。みるみるメイン集団を引き離していった。
4人の中だけなら、最後のスプリント勝負でサガンが勝つのは分かり切っている。それはフルームも承知。彼にすれば、総合争いで後続のライバルにどれだけ差をつけられるかが問題であって、追いつかれたら何もならない。そのためにはサガンとの協調に賭けるしかない。そのギリギリの駆け引きが最高のスリルを生んだのだ。
結果は逃げ切り、サガンが優勝。フルームが2位。いつもだったらフルームはキンタナに1秒の差もつけられないところだったが、この平坦コースで10数秒の差をつけたのだった。
僕がこれまで観た中では最高の、抜きんでて面白く、感動したロードレースだった。これは、野球で言えば、昔の、あの「近鉄×ロッテ戦」とかに匹敵するくらいのものだね。2016年の11ステージはこれからもずっと語り継がれるレースとなるだろう。これがロードレースの神髄だ。

と思ったら、翌日のステージでは、またまた歴史に残るようなとんでもない出来事が待っていた。
12ステージは、最後は超級の山を登るのだが、残り20キロを切り、メイン集団に8分差、優勝争いはもはや逃げグループの手中となった。総合1位のフルームは2位以下との秒差を広げるべく、必死でメイン集団の先頭争いをしていた。そして、何回か仕掛ると、最強のライバルのキンタナがついに遅れる。同僚のヴァルベルデも同じ。メインの先頭はフルームと他2人となった。

この3人がゴールに近くになってとんでもない事故が起こる。選手たちの前や後ろにはテレビ中継の用のバイクが走るのだが、この日は観客があふれかえり、それに道がふさがれ、前を走るバイクが突然急停車。そこにこの3人が激突する。フルームのバイクは壊れたらしく、近くにサポートカーもいない。一秒でも惜しいフルームは坂道を走り始め、走りながらチームカーの到着を待つ。まるでトライアスロンの選手のようだ。車が到着し急ぎバイクに乗ったが、1台目は仕様が合っていないのか、整備不良なのか、まるで前に進まず、またしばらくして2台目に乗り換え、ようやく普通に走れるようにはなった。が、ときすでに遅し、かなりの選手が彼を追い越し、当面のライバルには1分20秒も遅れてのゴールとなった。

このままでは1位の座を奪われることになるのだが、さすがに救済措置が取られ、フルームは総合1位のまま、なおかつ2位との差はさらに広がったのである。

何でこういうことが起きたかというと、そもそもツールの観客たちは、よくいえばアクティブ、とくにスピードが弱まる山岳では選手に触りに来たり、一緒に走ったりする連中が後を絶たない。特にこの日はゴールを6キロ手前に変更したことも手伝い、観客が凝縮してしまったようだ。選手が蚊を追い払うような仕草をするのを何回も観たが、そういう映像もいつもより多かった。日本の観客は選手の邪魔をしないことを旨とするが、そういうものとは全然違うんだよね。何しろお祭りだから。フランスや欧州中から遠出してきて、4,5時間以上は前からそこで選手が来るのを待っているわけだし。ま、ケガがなくてよかったが。

水曜は史上最高(僕の中では)とも言えるレース、木曜は史上最悪(たぶん5番目くらいだが)とも言えるレース、今ツールが熱い。

そういえば、先週第6ステージで新城が引くのが楽しみだとここで書いたが、実はチームどころかずっと逃げまくり、敢闘賞を取った。パチパチ。ツール・ド・フランスで敢闘賞を取るなんてものすごいことなんだぜ。先週は忙しくて帰りが遅かったので観られなかったんだよね。残念。
ユーチューブで観ると、残り約20キロで新城がメイン集団に吸収されるあたりでは、そのメイン集団の横を白馬に乗った奴(女かも)が疾走しているのが映っている。こういうのもツールの面白さなんだよね。他にも、さまざまな意匠を凝らす観客の映像もツールの楽しみなのだ。それにしても、こういう客だけならいいんだけどね。

菅野所長のエッセイ:つたない試算ですが


2016.07.08

7月の初めだというのになんという暑さか。これでは今夏はいつもより暑いのかもしれない。暑さは苦手なので苦しい。

ヨーロッパでは、ツール・ド・フランスが始まり、2~4ステージはスプリント戦だった。これを珍しくもじっくりと観たが、ゴールがやや登り坂だった2ステージは、サガンが強さを見せてツール初のステージ優勝。3,4ステージは平坦ゴールだったので及ばず、しかし、4着とか3着とか、タイム差無しで食らいついた。生粋のスプリンターには敵わないが、多少のアップダウンがあればサガンには有利だ。

ところで、3ステージはカヴェンデッシュ、4ステージはキッテルの優勝だったのであるが、どちらも2着との差は数センチ。スローVTRでもわからない接戦だった。こういう勝負は「弱虫ペダル」の世界のことかと思っていたが、それが二日連続であったから驚く。ほんとに最後は自転車を前に投げるんだよね。投げると言っても、腰を思い切り後部に下げて、ハンドルを前に突き出す技で、それをゴール前1~2メートルで瞬間的にやるわけ。スキーでもゴール前にはわざと思い切り後傾するのと一緒。マンガの世界ではしょっちゅうやっているが、スローで観ると、寸前まで劣勢だったカヴェンディッシュがこれをうまく決めて勝っていた。スプリントは接戦になりやすいから、こういうところが面白い。でも、僕としては、クライムが楽しみだ。

それから今年は日本人選手新城幸也が強豪ランプレに移籍し、ツールに参戦している。第6ステージとか、少しアップダウンがあるステージではチームを引くのではないかと楽しみである。そして、サガンにはぜひ落車などせずに最後まで走ってもらいたいのだ。なぜなら僕の最大の楽しみは彼が下りを激走する姿だからである。去年ツールだったかプエルタだったか、観ているだけで恐くなるような超ハイスピードで延々と下る姿を見て心底しびれた。下りだと、ロードレーサーは時速100キロ以上出るんだよね。9日からは、たぶんダイジェストだと思うけど、BSでも放送するらしい。

一方ヨーロッパといえば、4年に一度、ユーロ2016が佳境である。ドイツが苦手なイタリアにやっと勝ったわけだが、PK戦はさすがにブッフォンとノイヤーとの対決だからワクワクするよなあ。両国ともキッカーは何でそこまでと思うくらいびびりまくっていたが、ほんの少しドイツがついてた。負けたけど、ブッフォンはほとんどコースが読めていて、ノイヤーはそうではなかったもんね。
ま、どこが勝ってもいいのだが、僕としてはアイルランドの”魂のサッカー”が久々に観られたのでそれに満足。あとはベイル要するウェールズがなかなか強い。と思ったが、準決勝でロナウドのポルトガルに負けた。ウェールズは、なんでもラムジーが不出場だったらしいのでいたしかたない。

小池百合子が都知事選に強硬出馬ということだが、オリラジ中田が「自分のために出馬している」と言っているのは正しい。ここへ来て干されているし、華々しくキャリアの最後を飾りたいという欲望があからさまだもんな。そもそも冒頭解散なんて不可能に近いし。自民の分裂選挙になってもやっぱり負けるんじゃないの。ただし、恐いものなしになって都議会と全面戦争するのも面白いといえばそうなのだが。都議連としては自分たちにメスを入れられるのが恐いからね。名古屋市と同じでさあ。

一方で参議院選は全然盛り上がっていないと思ったが、調査では投票に行くと答える人が7割くらいいるらしい。意外だが、さすがに憲法の変更とか、年金積立金の多額な損失とかがあって、これ以上安倍に暴走されたらたまらんという雰囲気があるのかもしれない。年金積立金についてテレビで橋下が「全体からすれば少額、まったく問題ない」と言っていたが、その感覚は相当ずれていると思う。お金の出所が違うから気づきにくいが、最低5兆から10数兆とも言われる損失額が、GNPの減少と換算すれば小さくはない、むしろ深刻な数字である。これは会社が売り上げを伸ばしていても、一方で健保の医療費などが増大していることを損失と考えれば、全体状況は決して安泰ではないのと同じなのだ。

号泣議員が有罪判決という当たり前の結果が先日出たが、興味深いことに兵庫県議会では、この一年で使わない政務活動費の返還が急増した。ああいうことがあったんで報告が厳しくなったわけだが、返還金の合計が1億以上。兵庫県のレベルでそういうことだから、これが全国の県議、市議、町議でも同じことが起これば、その総計はものすごいことになるだろう。
全国の市町村の数は、東京都特別区も入れて1741、これに都道府県47を足して1788。日本にはこれだけの議会がある。これらのすべてが政治活動費の使途を普通に管理するようになればどうなるか。都道府県、特別区を一律1億、市議会を3000万というように規模に応じて計算すると、全体で300億以上の節約がなされる。たぶん実際はもっと多額になるだろうが、それだけ国民の税金は無駄に使われているわけだ。今年都民税を払うときには、あいつの私腹のために払っているのかと、すごく複雑な気分だったものな。