「あん」に捧ぐ


2018.09.22

今週は何ともヘンな天気だったなあ。しかし、あの狂熱はかなたに行ってしまい、気温的にはちょうどいいところになってきたかな。僕の場合は、寝るときにトレーナーを着て、布団を掛けなくてもいいのが一番いい感じ。でも、一年の中でそういう時期は短い。すぐに秋は深まり、寒い冬になるのだろう。一年は早く、人生も早い。今のうちにやりたいことはやっておかないとな。
とは言っても、これといって特にやりたいことなどはない。今は好きな温泉でぐーたら過ごしたりするのがいいな。ゴルフは楽しいが、体的には疲れるのでね。
もう少し競馬も当たるといいな。振り返れば、この夏、重賞はよく当たっているのだが、他のレースでやられてしまうのだ。困ったものである。

残念だったのは、ブエルタ・ア・エスパーニャの生中継の時間が短すぎることだった。いつも11時からの放送で、これではレースの5分の1くらいしか観られない。まったくJ-SPORTSは何を考えているのか? これでは興味が湧かなくなるのである。観たのは4ステージくらいだった。そんな自分にちょっと驚いた。この調子なら来年は始めから観ないかもしれないし、ロードレース自体に関心がなくなっていくかもしれない。これも困ったものである。

まあしかし、スポーツでは景気のいい話題もある。大坂なおみの全米オープンは、決勝までの試合を観る限り、今回はセリーナ・Wに負ける要素はなかった。まったくものすごい成長である。セリーナの傍若ぶりと観客のせいで、せっかくの優勝にケチがついたのは残念だったがね。まあ順調にいけば、これからの女子テニスは大坂なおみの時代であろう。まだ20歳。すごいことだ。
昨日は、柔道の世界選手権で阿部兄妹が優勝。決勝では、どちらも内股で相手を裏返しにしてしまうという圧倒ぶりである。これも21歳と18歳。
このところいろんなことがあったけど、僕の耳目を一番引きつけたのは樹木希林の死である。全身ガンということで先がないことはわかってはいたが、やはり残念な死である。 というのも、ここには書かなかったが、以前映画「あん」を観て、彼女の演技にすっかりやられてしまったことがあるからだ。この映画では、他の俳優はただ邪魔な存在としか映らない。いい”演技”をしようという気が出てしまっていて、それが映画に余計な空気を流し込んでしまう。そんなあまりに凡庸な監督やほかの役者たちを救ってしまう樹木希林はまったく別次元である。日本俳優の歴史上唯一無二だったな。もっと観たかった。合掌。

会見やぶにらみ


2018.09.08

だいぶ涼しくはなったのだが、この間の台風、関空に取り残された人たちを気の毒に思っていたら、北海道には朝方に震度7の大地震。起きてニュースを見てビックリ。この夏はほんとに災厄が多い。
実は、神戸に行っていて、帰った翌日に神戸では台風の直撃である。僕の場合は、この夏、台風と猛暑の合間合間に各地に行っているのでひじょうに運がよい。

ただ、先週の神戸ではとても不愉快な思いをしたな。
学会のついでに、例のプラド展を兵庫県立美術館に見に行ったのだが、この建物が酷い。安藤忠夫のものだが、まるで観る側の立場に立っていない自己満足建築物だ。迷路のようになっており、どこを通ったらいいのかわからず、何度も行ったり来たり。お年寄りや脚の悪い人だったら大変だろう。タクシーの運ちゃんに聞いたら、「ここから乗る人は皆ブツブツ文句言ってますね」だと。土曜なのにずいぶん空いてるなあと思ったが、悪評は十分に広まっているからだろうか。
展示もなんだかライティングが悪く、ひじょうに観にくい。まあ、ベラスケスの重要な作品はあまりないので良かったが、それにしても、昔マドリッドで観たときのあの感動はまるでよみがえらない。震災復興のシンボリックな意味で建てられたらしいが、それだけにますます残念なことである。たぶん日本一行ってはいけない美術館だろう。

冠水した関空もまた飛べるようにはなっているが、関空を管理する会社の会見が何もあまり責任を感じているふうに見えなかった。「想定以上の高潮なんだからしゃーないですやん」という印象。でも、過去に2回くらい同じようなことになってるんだから、対策が甘いというそしりは免れないな。同じ海上空港の名古屋セントレアの防潮フェンスは関空の倍くらい高いように見えるし。
他に会見で不信を抱いたのは、体操の速見コーチ。これもあまり反省しているふうではないなあと思ってたら、後日、宮川選手に暴力をふるっていた動画が拡散された。これはすごいよ。ひどい。目を背けたくなる。これこそ想定以上。日常的に行われていたのは確実だな。指導力もないのにコーチになっている悲劇とも言えるがね。会社の上司と一緒。
で、こんな目に遭ってた宮川選手がなぜコーチをかばうのか? これにはいくつかの見方がある。ひとつはDVカップルにありがちな関係性。「ほんとはいい人なんです」「根は優しいんです」と青痣をつくっている彼女たちは語り、周囲はため息をつく、あれだ。男性コーチと女子選手ではしばしば疑似恋愛関係になりやすいしね。
つぎに宮川選手が相当鈍いかだ。本人が暴力を認めている一方で、宮川選手はそのほとんどを「暴力はなかった」と言う。ほんとにそう認識しているなら、彼女のものの見方は相当変わっていることになる。
僕は違うと思うね。暴力と認めると、自分の立場が不利になると考えているんじゃないかな。彼女の目標はとにかく代表選出、オリンピックに出ること、それだけだ。そこに至るために積み上げたプロセスを今さら変更できないと思っているのではないか。だから、暴力なんかありません、悪いのは協会側ですと言い張るしかない。ま、あくまで推測だが。彼女の会見から僕が感じたことは、この子はすごくしたたかだなということだった。
もっとも、協会側、塚原(妻)も相当のもんだろう。本人は別に大した選手じゃなかったが、夫は、ムーンサルトで世界に衝撃を与えたあの塚原光男だ。夫の威を借り、女子体操の世界を牛耳っていたわけね。
昔から朝日生命クラブのあり方は問題視されてたからね。読売巨人と同じで、いい選手をがんがん引き抜いて帝国をつくり、協会の中でも隠然たる力を揮っていた。近年、指導ぶりが古いので、いい選手が出ず、つぶれる選手も多いので人気がなくなった、というのも巨人と同じ。
まあこれを機会に目一杯膿を出して欲しいものだ。

で、来週は仙台に仕事で行っちゃうので、このコラムはお休みです。

勝ったのは百姓だ


2018.08.25

まだまだ残暑が続くけど、やはり一時期ほどではない。まあ、西日本に比べたら東京はマシだな。

この間まで、ホットな話題は秋田、金足農業の活躍だった。あまり高校野球には関心がない僕でも、決勝は気になったものな。春夏連覇をした大阪桐蔭だが、すっかり食われてしまった。かわいそうだがしかたない。判官びいきってやつでね。昔の青森三沢、東京の国立のときはもっとすごかったぜ。
それにしても、世間の声は負けても「よくやった」である。「勝たなきゃ意味ないよ」という、あのW杯のようなことはほぼない。野球ファンとサッカーファンの気質の違いというのもあるのだろうがね。

確かに野球というのは変なスポーツで、他に比べれば、ピッチャー以外はあまり一生懸命働いている様子もなく、そういう意味ではひじょうに退屈なスポーツである。試合もダラダラと長い。その退屈さを埋めるために、野球は物語を必要とする。その物語とは単純なもので、公立校、部員が少ない、予算がない、有力選手を集められないなど、要するに、恵まれない者が恵まれている者に勝つというものである。
しかしながらこの物語は、狡猾なことに、だから負けてもしかたがないという保険がかかっている。秋田県はもちろん、日本中が応援しつつも勝利への期待は緩やかだ。決勝で惨敗しても誰も選手を責めはしない。

かく言う私も金足農業を応援していた一人である。出張などで秋田に行くたびに閑散とした繁華街に心を痛め、もとより自殺率のひじょうに高い県であることも気になり、秋田の人々に少しでも活力が生まれることを祈るからだ。そして、その願いは優勝こそしなくとも叶ったような気がする。結局、僕は、野球自体はどうでもよくて、それ以外のところに関心を寄せているのである。

学校への寄付金が全国から2億近く集まったり、その後のフィーバーぶりを見れば、優勝したのは大阪桐蔭だが、勝ったのは明らかに金足農業である。映画「七人の侍」の最後に、激戦を生き残った志村喬が加東大介にこう言っているではないか。
「勝ったのはわしたちではない。勝ったのは百姓だ」
勝ち負けと言えば、昨日は、何とU-20のW杯で、なでしこが優勝。本代表の凋落ぶり、ダメダメぶりを見ている者にとっては、???がいっぱいつく衝撃である。準々決勝でドイツに3-1で勝ったところから、この???は始まり、決勝はスペインに3-1で勝って!!!に変わった。とくにスペインの若手は相当強いと聞いていたので、まさかの勝利である。数年後を考えたら、数人残して本代表と入れ替えした方がいいんじゃないの?
一方で、U=20男子代表のダメっぷりときたら本当に情けないかぎりである。せっかくW杯で希望が見えたのに、この世代からは誰も上がってこられないとわかって、がっくりである。
今日からは最後のグランツール、ブエルタ・ア・エスパーニャが始まる。いつも言うけど、ブエルタは映像がすごいんだよね。スペインの光は濃いんだよなあ。
スペインと言えば、来週末に神戸で学会があるので、ついでに兵庫県立美術館にベラスケス展を見に行こうと画策している。東京のは行けなかったのでね。僕は、ベラスケスの絵と、ヴィクトル・エリセの映画があれば至上の官能を味わえるのだ。スペインに感謝。
ということで、来週はこのコラムはお休みです。

油断禁物


2018.08.18

いやあ、この2週、コラムにアップしませんでしたねえ。

週末に出かけることが多かったせいもあるが、何より、これに限らず、忘れることが増えてきたからだ。やっぱり年なんだな。
先日は、免許証がなくなっていた。高崎のレンタカー屋で免許を出そうと思ったら、財布の中のどこにもない。しかたないから、疲れたと言ってホテルの部屋で休んでいる友人に電話して代行してもらったのだが。
しかし、免許証だけないというのはどういうことか? 5月にやはり札幌のレンタカー屋で免許証を財布から出して以来、たぶん目撃していないので、あのときに何かあったのだろうか? そもそも免許証を出すなんてことは一年でもほぼないのでねえ。レンタカーか、郵便局か、それ以外にはなさそうだし。
とにかく、ないと困るので、東陽町の運転免許センターに行って再交付した。これで安心。免許にかんしてはもう忘失はないだろうな。でも、再交付のために、区役所に住民票を取りに行ったら、そこに折りたたみ傘を忘れてしまった。翌日に行ったらあったけど。とにかくひどいね、この健忘は。今のところ仕事に支障はないのが救いだが、こんなことでは安倍政権のとんちんかんぶりを笑うこともできないのではないか。
EUが人々の健康を害するとしてサマータームをやめようかというときに、日本ではサマータイムを導入しようとか言っているのが笑止だ。こんなふうにして、「失われた30年」というのがまだまだ続いていくのだな。

この夏は、出かけることが多いのだが、きわどいところで猛暑日から免れている。京都、高崎、甲府と、どこも38度越えの合間に行って、32,3度で済んでいるのだから強運と言う他はない。しかも、台風が通り過ぎた後だったりして。
もうこの先ああいう猛暑はないだろう。月末には神戸に行くが、このあたりも35度を超えることはないだろうねえ、もはや。昨日今日と、東京は風が涼しくて秋の気配だ。むしろ台風のほうが心配か。9月は、神戸と、中旬には仙台に行くな。
そういえば、近頃の京都もやはり中国人ばかりだな。最近は着物を着ての市内観光が流行っているようで、見たところほとんどが外国人。多くは中国と東南アジア、中東もいるね。祇園あたりはこういうので一杯だ。昔は欧米人が多い京都だったが、今はすっかり様変わりしたね。銀座と一緒だが。

あまり書くことがないなあ。エアコンなしで寝られるのがいいんだけど、薄着だと体が冷える感じもある。また残暑がぶり返す可能性もあるし、油断は禁物な季節の変わり目になったということか。油断せずに忘れ物もしないようにしよう。

トーマスとトーレス


2018.07.26

日本代表の監督が森保になると聞いてちょっとがっかり。別に悪いやつではないが、何せ世界のトップレベルを知らない。だから戦術が立てられない。西野が無策だった理由の一つでもある。

監督人事は「関塚に一任する」と言って、協会の理事長側は責任を押しつけたわけだが、お人好しの関塚はそう言われて舞い上がったのか、「5,6人は候補がいます」などと報道陣の前で言ってしまった。それですぐに森保になったんじゃ「5,6人」の意味がないだろ? しかも結果が悪ければ「あれは関塚が決めたことだ」となる。
要するに、今回の人事は、協会に世界とのルートを持っている人間がいないことを露呈したわけだが、チームの融和を図るという意味だけなら日本人監督はいい。ハリルと西野の違いはそこだけだったのだが、それはそれで意味はある。チームが仲良しというのは、そうじゃない場合と比べてかなり強いのである。

昔、アメリカの海軍だったかでこんな実験があった。チームを編成する際に、各分野(狙撃、爆弾とか)に秀でた者を組み合わせた場合と、そういうことは関係なく、ただ日頃仲がよいチームとを比べる。すると、パフォーマンスに優れていたのは仲良しチームだったという結果だ。つまり、優秀な人間だけを集めれば生産性が上がるということは起こらないのである。チームワーク、良好な人間関係が必須条件となるのだ。
だから日本人監督が悪いというものではない。しかし、その前のチーム作りでは世界を知る指導者の存在が必要だ。ある程度それをやってから日本人にするのはいいと思うがね。
たぶんロシアで日本のサッカーは進歩した、もう外国人は要らないと勘違いしてるんじゃないか? 今回はたまたま、パラグアイ戦でメンバーが入れ替わったからああなっただけでね、確信をもって、ああいうサッカーができたわけではない。森保に一からチームを作れるのか? その手腕はあまりに未知数だ。アンダーの監督やってたときの世代が持ち上がればやりやすいのだろうが。
そういえば「ジャイアントキリング」最新巻は、今回の選手起用を暗示するような内容でなかなか興味深いものがあったな。それにしても最近のサッカー漫画は面白い。「ジャイキリ」はまだまだ続くし、最近で出色なのは「アオアシ」だな。サッカーをよく知ってるもの。作者たちと協会の連中と入れ替えたらだいぶマシになるだろうに。
それよりいまはツール・ド・フランス。佳境は佳境である。スカイのチーム事情がよくわからず、エースはトーマスなのかフルームなのか、ずっとマイヨジョンヌを着ているのはトーマス、フルームは3位(26日現在)。チームとしてはどっちが優勝でもいいのかもしれないが、そのぶん優勝争いのガチンコ勝負も見られないと思うと、最悪につまらないツールだったということになるんじゃないのかと心配だった。
しかし、水曜の魔の17ステージ、5年ぶりにキンタナがツールの優勝を飾ったステージ。総合争いのグループでの駆け引きに期待したが、勝負所でまたもやフルームが後れをとった。それもあっさりと。トーマスは2位まで上がってさらにタイム差を広げた。今回はトーマスのほうが強いんじゃないかと薄々思っていたのだが、たぶんこれでチームスカイとして守るべきエースはトーマスに決まったような気がする。今回は強い。自転車トーマス!だ。
鍵を握るのは、2位のデュムランだな。18,19ステージとデュムランが優勝を狙って博打に出るかどうか、そうやって混戦になったときフルームにもまだ勝機があるかも。さて、どうなるか?  たぶんもうトーマスで決まりだな。
国内サッカー。日曜はイニエスタが日本デビュー。本調子にはまだまだだったが、それでもすごいねえ。ポドルスキが怪我でいないのが残念。
一方、鳥栖に移籍のF・トーレスについては、なかなか真面目な男なんだなと思った。けっこう体を作っていた様子で、動きにキレがあった。たぶん真面目すぎるから、これまで多くの大事な場面でシュートを外してきたのだろう。鳥栖は、鹿島から金崎を電撃移籍させ、トーレスと組ませる目論見なのだろうが、そのフロントの意欲は買いたい。順位はビリから2番目、J2降格だけは何としても阻止したいわけだ。わりと資金はあるみたいね。とにかく、僕はなぜかトーレスに注目したい気持ちになっているのだ。

そういえば、なんて名前だっけ、自家用ジェットでW杯決勝をタレントと見に行った奴。すごい資産があってプロ野球球団を買いたいと言ったそうだが、そこは流れ的にサッカーだろ! と、お笑いならすかさず突っ込まれるところだ。こういうのが何だか格好悪いって感じがする。SNS上の批判が金持ちへのやっかみだけじゃないとすれば、そういうふうに漏れ出てしまう格好悪さにあるんじゃないか?  ま、どうでもいいことなんだが。

W杯が終わり、ツールも終わろうとしている。8月末のブエルタまで楽しみがないなあ。まあ、出かける以外は仕事に励もうとは思う。

週末京都に行くのだが、どうも台風が来そうである。散々なことにならなきゃいいのだが。

菅野所長のエッセイ:両雄並び立たず


2018.07.20

W杯、やはりフランスの優勝に終わった。でも、フランスの2点目、あれはなかったな。VTR導入に僕は反対ではないが、悪い影響を及ぼしたことも否めない。あれがなければ、クロアチアはもっと肉薄できたと思う。
まあ、しかし、なかなかいいW杯だった。日本が健闘したことは大きな要素だが、ベルギー対ブラジル、ベルギー対フランスという、どちらも決勝戦のような試合を観られたのは喜ばしい。大会を通じて光ったのは、アザールとエムバペか。
ネイマールは過剰演技と散々こきおろされたが、ネイマール自身の出来は決して悪くなかった。ただ、よほどのことがない限り倒れず、デフェンスを抜き去っていくアザールとの比較において目立ってしまったところもあると思う。あとは、スアレス、カバーニの2人も素晴らしかったね。
メッシは、いつものことだが、代表では生きない。でも、ナイジェリア戦だったか、後ろからのボールを左太腿で小さくトラップし、それを足で前に落とし、利き足ではない右足で蹴りこんだあのゴールはメッシならではだった。
同じくC・ロナウドは、ワンマンチームの悲しさで敗退したが、スペイン戦でのFKはあいかわらずとんでもなかった。

予選敗退したが、韓国のFWソン・フンミン、19歳のGKチョ・ヒョヌの2人は、日本選手と違って世界のトップレベルだ。ソン・フンミンは兵役を逃れられればまだやれるし、韓国は向こう10年GKは安泰だろう。また一からチームを作り直す必要のある日本にとっては相当手強い。予選が別組になるだろうからそこはいいのだが。

エムバペにはほんとに驚かされた。薄い記憶をたどれば、体格といい、走るフォームがペレと似てるんだよね。まだ19歳。移籍金の新記録をつくるのは間違いないところだろう。サンジエルマンは獲得に190億使ったが、300億でもオファーは来るだろう。アザールもまだチェルシーとの契約は残っているが、レアルに行くだろう。クリロナの穴を埋められるのはアザールくらいだし。

ところで、W杯は終わっても楽しめるのがYUチューブの「ネイマールチャレンジ」。いまや世界中に拡散して大ブーム。これは必見、爆笑必至である。

 
で、W杯は終わっても、それにかぶりつつ進行していたツールは佳境に入っていく。前半折り返し、水曜の11ステージ(山岳、難関)はすごいレースだった。残り10キロくらいから、ニエベが抜け出し、スイスイと逃げを決めていく。このとき絶対王者チームスカイはまだはるか後方。6人でトレインを組んではいるが、どうもピッチが上がらない感じである。
おいおい、ニエベは去年までチームスカイだったよな? なんでスカイは手放したんだろう?  とか思っていたら、徐々にペースアップしたメイン集団も人数が減っていき10数人に。いつの間にかスカイも第2エースのゲラント・トーマスと王者クリス・フルームの2人である。そして、残り6キロでG・トーマスがアタック。フルームが出ないので、他の選手もこれを即座に追うことができない感じでいる。
で、あれれと思ったのは、この後フルームはトーマスの援護をするかのように他選手のチェックを繰り返すのである。あれー、今回トーマスが、フルームに成り代わって実質的なエースになっているという噂があったが、あれは本当だったのか? そういえば、このレースでも、前半フルームが二度落車したのだが、いちおう一人が助けに来るものの、チームとしてはペースを落とさなかった。そのとき、今回はやけにフルームに冷たいと感じた。絶対王者にも来るべきときが来たのかもしれないと。

残り4キロ、第2集団に追いついたトーマスだが、ここにいた強力なライバルのデュムランとともにニエベを追う。メイン集団では、アタックをかけたダン・マーティンに乗っかってフルームもアタック、他の強豪たち(バルデとかニバリ)はこれについていけず脱落。フルームとマーティンは協調して先を追いかける。
残り1キロ、ニエベ先頭。残り600M、ニエベ先頭、やや逃げ足に翳りが見える。20秒後にトーマス、デュムラン。何とその数秒後に、マーティンを競り落としたフルームも来ている。ちなみにロードレースの20秒というのは相当の差なので、登りといえども600Mくらいでこれを抜くのは難しい。これはぎりぎりニエベの逃げ切りかと思っていたら、トーマスが猛スパート。あれー、こんなの見たことないというスピードでニエベに迫る。残り600Mあるのに、300Mで抜き去ったのだ。信じられない、アンビリーバブル! あとは一人旅、と言うほど長くもないが・・・とにかく楽勝。これも驚異の追い上げのフルームが2着に上がったと思ったら、最後はデュムランに差し返され3着。
トーマスの強さが際だったレースだった。レース後インタビューでは「エースはフルームだ」と言っていたが、いや、どちらが強いかわからんぞ。あの最後の鬼脚を見たら、今ならトーマスのほうが上だろうと、誰でも思うだろう。あとはチームの考えひとつだな。
で、次の日も優勝を占う重要な12ステージ。山岳の厳しいサバイバル戦。残ったのは、トーマス、フルーム、ディムラン、バルデの4人。最後の数百メートルはまるでスプリントのような勢いでやはりトーマス。もう登り最強。山の王者。フルームは4位。
フルームが勝つには、約100キロのダウンヒルがある15ステージ、超難な下りのある16ステージでの挽回しかない。しかし、これは最近のフルームの得意技なので、まだわからないのだが、チームの指示はどう出るのか? もはや完全に「両雄並び立たず」という状況になっているのではないか。

菅野所長のエッセイ:ツール、仮眠、W杯、仮眠、仕事


2018.07.13

今週はたいへんだ。
W杯も大詰め、ベルギー対フランスは絶対に見逃せないし、クロアチアとイングランドも興味深い対戦だし。それが夜中の3時から始まるのだからたいへんだ。
しかも、ツール・ド・フランスが先週末からスタートしているし、これも見なきゃいけないから益々たいへんだ。平日だし。

で考えた作戦は実に平凡なのだが、まず夜中の3時まで少しでも仮眠を取り、準決を見終わったらまた少し眠る。そうすれば、4、5時間は睡眠が取れる計算だ。ところが、物事はそう目論見通りにいかない。火曜の夜に友人と電話では話したら、このまま起きて観戦すると言う。それを聞くと、仮眠を取る自分が何だか正しくないような気がして、よし俺もそうしようと思ってしまった。そこで、まずはツールの第4ステージを観戦し、その後2時間は、ケーブルのオンデマンドで時間をつぶした。

ベルギー対フランス戦。ブラジルと死闘を演じたベルギーに対し、楽に勝ち上がったフランスは相当有利だなと思っていたがね。前半終わって0-0も、何となくベルギーは分が悪い。それまでの試合と比べて、みな体のキレが悪いのだ。その中でもアザールはいいほうだったが。
で、CKからフランス先制。ここからのフランスは実にいやらしいチームだった。え!フランスってこんなチームなの?と思うほど、徹底的な守備。それだけベルギーを警戒しているとも言えるが、ベルギーはどうあっても隙を見いだすことができない。具体的には、フランスのボランチがすごくて、中央付近は盤石、鉄壁。業を煮やしたベルギーは、FW追加投入で、ひたすら右からのセンタリングを決め込んだ戦法をとったのだが、これが機能せず、しかも、デルプイネを後方に下げることにもなったので、ますます攻め手がなくなってしまった。で、危なげなく逃げ切り。

まあ、スカッとしない試合だったね。ベルギー対フランスなら、空前のスペクタクルなフットボールを観られると思った期待は完全に裏切られたな。前半はまあまあだったけど。

フランスは強い。それは認めよう。でもねえ、何と言うか・・・。ジダン、アンリたちが輝いていたあのフランスの華麗なサッカー魂はどこに行ったのか? しかし、これも時の流れか。美しくても勝てないサッカーより、泥臭くても勝つサッカーを選んでいるのだな。
よく考えれば監督はデシャン。ジダンたちとあの時代を共にしながらも、堅実堅固なイタリアサッカーが身に染みついたフランス人だ。フランスのサッカーはもう、セネガルやコートジボワールなどのアフリカ諸国にしかないのかもしれない。

で、これでガッカリしたので、僕としてはクロアチアに期待するしかなくなった。次の日はさすがにきついが、観れなくてもしかたないから、絶対に観ように変わったのだった。で、ツールの第5ステージを観ながら、そろそろ眠っておこうと思ったのだが、サガンがこのステージ優勝を狙っているとのの情報が入り、これも見逃せないとなった。前日のステージでは、ゴール前で前がふさがり2着だったのだ。
5ステージはゴール前に何百メートルかの急坂があったり、屈指の難しいステージといわれている。去年もこのステージはすごく面白かったな。サガンにとって決して有利とも言えない。実際、次々にクライマーも上がってくる中、アシストの力で足をためることができたサガンも坂をこなし、渾身のラストスパート。他を競り落として優勝。見事なものだった。このとき、12時半。よしW杯まで仮眠だと、すぐにベッドに入る。W杯もこういうふうに後味がよければいいのにと考えながら。
クロアチア対イングランド。クロアチアは延長戦続きで疲労が溜まっているので不利だろうなと思っていたら、そこへイングランドが先制。このFKは見事、止められない。そして、もともと地味な今回のイングランド代表であるから、やはりここでも守りに入る。しかし、フランスのように盤石ではなかった。後半23分、クロアチアが同点に追いつく。こうなるとイングランドも攻めなくてはならず、疲労のクロアチアも息を吹き返した。ここからがひじょうに面白いゲームとなるはずだった。
いや、つまらないのではなく、実際面白いのだが、これまでの激戦の疲労がクロアチアを徐々にむしばんでいくのがありありと見えて、観ていると息苦しくなるのだ。イングランドに比べて年齢も高いし。一方、同点にされたイングランドはラシュフォードを投入。これは僕が観たかった選手なので嬉しかった。
延長戦。両チームとも攻めきれず、これはPK戦かなと。そうなったら、経験しているクロアチアのほうが有利なのかどうなのかと考えたりしていたら、クロアチアがゴール前に絶妙の浮いたパス、ここに走り込んでいたマンジュキッチがゴール。少し時間はあったが勝敗は決した。

しかも、残り時間、クロアチアは引いて守ろうとはしなかった。疲れた体に鞭打って、前線から3,4人がイングランドにプレッシャーをかけに行くのである。試合開始のときと変わらない。この戦法を決めているのはもちろん監督なのだろうが、W杯で初の決勝進出がかかっている中でこれをやるのはすごいことではないか。これが俺たちの戦い方だという信念があると感じた。クロアチアの戦いに乾杯。スカッとしたゲームだった。後味がいい。イングランドも良くやった。

決勝はクロアチアがフランスに勝って欲しいと思う。そしてモドリッチがMVPとなって欲しい。が、やはりフランス有利は否めない。フランスはチームとしては未完成なのだが、選手個々の力がすごいからな。
でも、ここでクロアチアが勝つことには、大きな意味があるように僕には思えるのだ。この決勝戦に来るまでに、負けはしたがすばらしいサッカーをしたチーム、勝ち負け以外のものを感じさせたチームがある。たとえばモロッコがいて、セネガルがいる。あるいはアイスランド、ウルグアイ。そして何よりもベルギーがいる。そんな敗者たちへの讃歌となるのがクロアチアの勝利だと思えてならない。負ければレクイエムか。しかし、今回そこに日本が入らないのが残念だ。

まあしかし、どんな結果になろうとも、クロアチアの戦いは僕の心を打ってくれることだろう。
さて西日本では、未曾有の集中豪雨。被害にあった方々にはお悔やみ申し上げるが、あいかわらず土砂崩れへの対応が甘い。
今回良かったと思うのは、避難者への住居7万戸を確保したこと、要請前に、多大な救援物資を供出したことなど、これまでにない政府のスピーディーな対応である。一方で働き方とかカジノの法案をこんな時期に強行したりはどうかと思うが、少しは災害へのノウハウの学習ができてきたことは喜びたい。政治ってこういうことのためにあるんだよね。

菅野所長のエッセイ:志ん生が見る日本フットボール


2018.07.05

戦いは終わった。日本はよくやった。
やっぱり、勝ち負け、結果ががすべてじゃないでしょ?
あの試合を観れば誰でもわかるのではないか。ブラジルやドイツじゃあるまいし、日本はまだ「結果がすべて」なんて言えるようなレベルにあるわけじゃないんだよね。

W杯のちょっと前まで、日本は確実に参加国最弱だった。でもすべてはパラグアイ戦で変わった。代表監督の力というのは、究極、どの選手を使うかという人選力、選手の力を見る目にあるんだと思う。たとえばオシムさんのとき、FWに巻を起用して「いくらなんでもそれはないよ、オシムさん」と思ったものだったが、実戦での巻を観てその予見は覆ったものだった。その点、トルシェやハリルはダメだったな。彼らは技術ある選手が嫌いだった。もしトルシェに普通の眼力があったならば、日本はとっくにベスト8入りは果たしている。(あのトルコ戦でなぜ西沢を使ったのか! なぜ中村俊輔は選ばれなかったのか!)
乾は、ハリルだったら自分は選ばれなかったと言っている。香川もスタメンは危なかった。もし乾や香川がいなかったら予選は全敗必至だったろう。ハリルは縦の攻撃を強調したが、それも柴崎をFWの底に置きさえすれば解決することだったのだ。

西野もパラグアイ戦でやっと少し気づいたわけだが、しかし、もともとのあまり確かでない眼力に頼ることも多く、起用してはいけない選手を起用した。ポーランド戦は言うに及ばず、ベルギー戦でも、疲労困憊の柴崎のほうがエネルギー満タンの山口よりまだ上であることがわからない。延長を視野に入れれば、本田を入れるのは死路なのだし。

しかし、負けはしたが、選手たちは、自分たちの力でポーランド戦の汚名を晴らした。だからこそ、ベルギー戦でのスタメンで、あのサッカーなら、ポーランドを2-0,3-1くらいで撃破できたはずである。僕はそれを観たかったんだよね。

まあそれはもういい。ベルギー戦は、日本のサッカー史上、最も勇敢で美しい戦いだったから。感動の度合いでいえば、FW久保竜彦を擁したときのヨーロッパ遠征、チェコ戦に匹敵するものだった。
どう考えても勝てそうもない相手に前半0-0。これでベルギーには焦りが出て、日本には「やれる」という感覚が強まった。柴崎の芸術的なスルーパス、ちょっと運が良かったけど原口のゴール。そしてまたまた乾のファインゴ-ル。セネガル戦のときと違い、GKがちゃんと視認できてたにもかかわらず、触れもしなかったね。今大会初めて真価を発揮した香川も誉めたい、そして吉田。最終戦はもうひとうだったが、サッカーを始めたのが遅い酒井宏樹もようやく開花した。唯一のJリーガー、昌子もよく期待に応えた。柴崎は完全に日本のコントロールタワーとなった。これで遠藤のような柔らかいパスをもっと出せれば完璧なのだが。
もっとも賞賛されるべきは、やっぱり、アザール、デプルイネ、ルカクに自由に仕事をさせなかったディフェンスだよね。とくにアザールにはまるでハエが群がるようなデフェンス、あれでなくては日本は世界の一流と戦えない。Pエリアに入る前に数人がかりで止め、ボールを奪い、カウンターを繰り出す。その戦い方こそが日本の生きる道だろう。
そのために、90分、走れて、ハードワークできる人材が必要となる。その代表が長友だ。セネガル戦、柴崎のロングフィードをトラップミスしたものの、2人のDFの間を縫ってボールをキープしたあの立ち上がり、数メートルの動き、子ネズミのようなスピードは世界でも稀ではないか。でもあと4年は持たないか。

でも、どうなんだ? ベルギーの1点目。他の国のGKならパンチングで外に出してるんじゃないの? たとえば韓国の若いGKとか。何しろ、シュートじゃないんだから。普通ああいうゴールは「献上点」という。うーん、不運、仕方がないと言えばそうも言えるのだが・・・とにかく川島だからな。正面に来るのは弾けるんだけど。
2点差以上を追いかけるチームにとって何より重要なのは、とにかく最初の1点を返すことだ。それがあるかないかで気持ちが断然違ってくる。逆に、あのシュートでもないハイボールを凌げば、日本が2-1で勝つ目がかなりあったろう。だって、あれが後半24分。どんなに強いチームでも、2点差なら相当焦る時間帯である。実際、その少し前の後半20分に2人交代させてベルギーは勝負を賭けてきたのだった。そして1点献上。こうなると、とりあえずあと1点取ればという気持ちになったベルギーは、すかさず5分後に同点とした。それも交代したフェライニだ。

観ている僕としては、こうなればあとはベルギーのシュートの雨あられ、日本は為す術なしだなと思ったが、これまでの代表と違うのはここからの粘り、踏ん張りだった。コートジボワールのときもオーストラリアのときも、砂の城が崩れるようだったからねえ。ここからあのロスタイム失点までの時間こそが今回の代表のハイライトだったのではないかとさえ思える。もっともベルギーにすれば、同点にさえすればもうこっちのものという余裕だったかも。急がなくても点は取れると。最悪延長でも、さらに大丈夫と。
本田のFKはちょっと遠すぎたよね。正面過ぎるし、あれを狙うのはどうかと思う。ま、こぼれ球狙いというのもあるのだが。しかも、もう柴崎がいなかったし。このFKも最後のCKもよくいえば一発狙い、普通にいえば偶然頼みである。でもそれじゃダメなんだ。対スウェーデン戦でのドイツは、そのワンプレーでゲームが終わってしまうにもかかわらず、FKで緻密なフォーメーションプレイを敢行した。何の知恵もなく放り込むなんてことはしない。僕が思うに、本田が入ると日本には賢さが失われてしまうのである。キック一発依存というか。でも、韓国のソンフンミンじゃないんだから、無理無理。
最大の戦略ミスは、最後のCKである。あそこはカウンターを警戒した布陣にし、自陣に何人か戻した上で、ゴール前は少数で戦わなければいけない場面である。それはサッカーの常識、世界の常識だ。そうしなかったのは西野のマネージメント不足なのか、何も考えてないか、加えて本田の功名心か、どちらもか。
延長になればボロボロにされた可能性もあるのでね、まあ不問に付してもいいんだけど。サッカー知ってれば、どれほどアホなやり方かはわかる。ポーランド戦の球回しと言い、これと言い、西野は運頼みになる癖があるようだ。世界を知らないからというよりも、切羽詰まると、考えることを放棄してしまうタイプなのかもしれない。

まあしかし、延長でもまず勝てはしない。ベルギーのスピードは衰えないもの。それが最後のとんでもないカウンターに現れてる。ルカクもねえ、

「あそこでスルーするんかい!」
「そんなん普通できひんやん!」
「ルカク、半端ないって!」

90分動き回っても、自分が点を取ってなくても、あんなゴール前でも、頭は冷静。すごい、俺が俺がだけの本田とは違うねえ。本田が蹴ったCKの不成功から9秒後に生まれたルカクのプレイ。あれは対照的だったな。

ということを、サッカー部出身の旧友に話したら、「あのプレーは、繰り返しミニゲームをして叩き込んだもの」「そうでなければ、あのルカクが我慢できるはずがない」と言う。ああ、そういうことか。だよなあ、ルカクは誰よりも俺が俺がだ。しかし、ああいうギリギリの場面でこそサッカーの質の差、歴史の差が出るのだな。優勝候補で2年間無敗のベルギーから2点を先制し、あとちょっとで勝てたと思い、日本も世界に近づいたと思いたいわけだが、その「もうちょっと」「あと少し」の差が、実はとてつもなく大きい。あのカウンター、あのワンプレーにはそれが凝縮していたということだ。

落語界のレジェンド、古今亭志ん生は、自分よりも上の噺家と自分を比べて「あと少しの差だな」と思ったら、そこにはものすごい差があるのだと看破した。囲碁ならば、いつも10目以上で負けている相手に、あるとき3目で負けたからといって、実力が近づいたと思うのは滑稽であるように。

日本が良い勝負できたのもベルギーが強くてしかも紳士的だったことがあるよね。汚いプレイしないもん。だから日本は今までもわりと相性がいいのかもしれない。しかし、実力差は歴然だった。考えてもみよ。残り20分で、0-2をひっくり返すなんて、相当の力差がなければできない。あれはベルギーサッカー史にとっても、歴史的な逆転劇だろうが。
その差を埋めるのはたいへんだが、しかし、今回のそれはベルギーとの差である。あの展開に持ち込めることができたら、他の16強の中でそれをひっくり返せそうな国はブラジル、フランス、ウルグアイくらいのものではないだろうか。つまり、世界の超一流とはすごい差があるが、Bクラスとなら互角の勝負ができる、今回のチームはそこまでは近づいたと言えそうである。今の日本がどれくらいの位置にいるのか? 船はどのあたりを航行しているのか? それを知る術は4年に一度のこの場所しかない。

 

(そういえば、ウルグアイのカバーニがフランス戦に出られないとのこと。フランス絶対有利か。ちなみに、ここまでの最高のゴールは、ウルグアイ、カバーニからスアレスへの超ロングパス、スアレスの長いクロスに合わせたカバーニのヘディングだろう。あれほどのものはサッカー史上でもなかなかないんじゃないの)

 

 

 

さて、パラグアイ戦からベルギー戦までを通して、ポーランド戦はスルーして、日本がどういうサッカーを目指すのか、誰にでもはっきりしたことを祈ろう。それが大きな収穫だ。問題は、次のW杯で、現在20代前半の若手がどれだけ伸びてくるか、W杯開催時にいちばん油の乗りきった選手が中心となれるかどうか、そのためにはヨーロッパでレギュラーになれないようではひじょうにまずいと。
具体的にはセンターバックが最重要課題。杉本健勇を説得してまたディフェンスに戻ってもらい、昌子と組ませるのがいい。そして2人にはプレミアかブンデスに行って、W杯まで修行してもらうと。

監督をどうするのかも大きいね。世間の風潮は西野は名監督ではないかとなっているが、それはどうか? ハリルよりはよかった感じはあるが。でも、パラグアイ戦があったからたまたまこういう結果を得たわけでね。彼自身は、世界との戦いでは誰を起用していいのかわかってなかった。本人も世界との差が見えていないと言っているし。必要なのは、世界との差、違いがわかっており、日本の良さをわかる人である。つまり日本人にはいない。いままでオシムさんしかいなかったね。

ああしかし、4年後の大きな課題がまだあった。自分はこんなふうに元気にW杯を観ることができるのだろうか。

菅野所長のエッセイ:W杯がやりきれない


2018.06.30

前回のコラムで、僕たちはいったいサッカーに何を求めているのか?ということに触れたが、まさにその問題が大きく浮かび上がることになったな。僕はこれまで嫌と言うほどサッカー観てきたし、だからああいう場面にも慣れっこだ。とくにW杯の予選では必ずあるし。しかし、負けてるチームがあれをやるところは観たことがない。ほぼ100%、0-0とかで引き分けている場合である。はたしてサッカー史上にもあるのだろうか?

これは日本のサッカー史でも、世界のサッカー史でも類い希な事件となったような気がする。世界の場合は、この試合を機にルールの改正があるかもしれない。自陣でボール回すのは何秒以内。時間オーバーになると相手ボールになるとか。バスケットなんかは似たような罰則がある。あるいは攻撃精神の欠如が見られた場合には1点負荷とか。実際、ボクシング、柔道、レスリングではやってるし。W杯終了後、FIFAでの議題には登るのではないか。

日本の場合では、サッカーにとどまらず、日本の精神史に刻まれてもおかしくない事件だと思う。僕の関心はほぼここにある。

ネット上の統計を見ると、「あれでいい」がわずかに上回っているな。正確な統計ではないが、僕の印象も「あれでいい」が多いような気がする。
さて、僕はというと、どちらが正しいということではなく、結局サッカーに、スポーツに何を求めているかなのだと思う。前回言ったように僕が求めているのは決して勝ち負けだけでない。負けたからといって悪いわけではない。勝ったことすべてが賞賛されるべきでもない。負けるのは悪くない、悪いのは勝負しないことだが信条の僕であるから、あそこで攻めてかりに失点することがあっても代表を責めるなんてことはしない。むしろ誇りに思うだろう。という僕の考えと同じ人もけっこう多いのだが、全体的に見ると劣勢のようだ。
今回の西野の判断には、本人個人のものもあるだろうが、多分世間(日本)も同じように思うだろうという判断もあったと思う。そうでなければ、ああいう指示などできない。

日本人がこのように結果優先を考えるようになったのはいつからだろう。
たとえば、甲子園でゴジラ松井秀喜が全打席敬遠されたとき、相手の監督を擁護した人間はほんの一握りであり、卑劣な行為、スポーツマンシップに悖るとして日本中がバッシングを浴びせたものだった。当時の日本サッカーは今と比べものにならないほど弱かったが、しかし、今回のことを当時の人たちならどう思うのだろうか?
あるいは、それよりはずっと後、ベンチから敬遠を指示されてマウンドで泣いていた上原(巨人)の姿を結果オーライの人たちはどう記憶しているのだろうか。

ただし、僕だってあれを擁護するくらいの考えは持っている。もちろん、予選突破は最重要なミッションではあるしね。
そもそも、スタートメンバーを見たときに、西野には勝とうという意志があまりなかったのがわかる。引き分け狙い。それどころか槙野、宇佐美、川島、山口と、味方にとって危険な選手を4人も入れてるんだから。そして酒井豪徳を右サイドアタッカーに起用なんてわけがわからない。勝つどころか、負けも覚悟の布陣だよね。
今回皆は川島を賞賛しているが、2つのセーブはW杯に出るGKなら当然のプレーと僕には映る。好プレーではあるけど。間違いなくファインプレーと言えるのは、槙野のオウンゴールを防いだところだ。槙野の危険さに注意を払っていたところはさすがに長年一緒にやっていただけはある。あれは川島でないと防げない。ノイヤーでも無理。

しかも僕は愚直に最後まで攻めろという意見ではない。失点はせずに、しかし、チャンスがあれば点を取りに行く。それくらいのことなら、今回のポーランド相手ならできるはずだと思う。それくらいできないで決勝トーナメント行く資格などあるのかとも思う。
ただし、それはそういう布陣でなければできないな。槙野、山口を交代させ、昌子、長谷部を入れてDFを強化し、柴崎を前目のポジションに動かすと。しかし、これでもちょっと足りないな。先発メンバーがあんまりだったから。

結局、先発を見たときの残念な思いのほうが、残り時間の「あれ」よりも僕には大きいのである。それがよくわかった。

そしてまた残念なことには、W杯コロンビア戦、セネガル戦と高まっていった代表への僕の思いはもう半分ほどにしぼんでしまった。世界のようにこのチームを敵視などはしないし、ベルギー戦もがんばって欲しいと願ってはいるのだが。でも、何か自分の心の中の心棒が抜き取られてしまったような気分、ああ、これは、やりきれなさというやつかもしれない。

菅野所長のエッセイ:窮鼠はライオンに立ち向かえるか


2018.06.22

コロンビア戦、いやあ、バカづきでしたね。でも、それを呼び込んだのも、開始直後からの日本の攻め気である。俗にゲームの入り方がよかったって言うやつ。相手デフェンダーを振り切った大迫、こぼれ球を思い切り撃った香川。あそこはよかったねえ。
MOM,MVPは誰もが認める大迫。とくに後半のピンチ、ゴール前のハメスのシュートを阻んだのはなんとワントップから戻った大迫だった。次に柴崎。やや守備的な位置にいたので思ったよりも見せ場はなかったけど。長谷部に足を引っ張られてた感もある。負傷も大したことないようなので安心。
ところで、どこもかしこも大迫という中、英BBCは乾に最高点をあげていた。よく見てるなとも思ったが、サッカーに何を求めているのかというところで評価は常に分かれるのだろう。これはオシムさんも言ってたね。日本人は、いったいサッカーに何を求めているのかをよく考えたほうがいいと。
僕の場合は勝ち負けじゃないね。チームのために、労を惜しまず、体を張って戦う。そして組織的にクレバーに戦うこと。

で、BBCが乾を選出した点についてよく考えてみた。すると、「何かが起きるんじゃないか?」という気持ちにいちばんなるのは乾にボールが渡ったときだなと思いついた。つまりワクワクすると。スケールは違うけど、クリロナ、メッシ、ネイマールがそうでしょ。日本ではそういう個は埋没しがちだ。スーパースターはいない。そんな中でそういう気持ちにさせてくれるのは現状乾くらいではないか。BBCはそこに価値を見いだしているのではないかと思った次第である。
ちなみにセネガルでは、まず自分たちが楽しむこと、そして観ている人を楽しませること、それがサッカーだという考えである。

まあ、いちばんの勝因はコロンビアが負けてくれたことかな。日本をなめてたね。もし研究されていれば、香川のPKは多分止められていただろう。

セネガル戦は、GK以外はほぼ同じメンバーでいくべきだ。川島は僕が出してはいけないと言った選手である。今回もひじょうに危なかった。なんで西野は使うかなあ、お気に入りの宇佐美も後半アップをしてたので気が気じゃなかったぜ。あとは長谷部がボールを持つとひどかったんで、これが何とかならんのか。
てなことを考えてたら、今回は3バックにしたほうがいいのではないかと思い立った。3バックの真ん中は長谷部。今やブンデスでもそこでやってるし。左右に昌子、吉田。長友、酒井のSBを含めて実質5DF。超守備的布陣。ボランチは柴崎、山口(大島)FWに乾、大迫、香川、GKは中村。
とにかく、前半は0-0で折り返し、セネガルの焦りを誘うと。

しかし、いくら準備したところでセネガルは強い。コロンビアの比じゃないと思う。怪物揃い。ポーランドに勝ったのはまったく意外ではなく、そもそもH組でいちばん強いと思ってた。だから焦りを誘うしかない。その辺はアフリカ人だからね、雑になってミスを連発する。
だから、とにかくデフェンスだよね。1対1になっちゃダメ。必ず複数で対処する。長友、酒井が当たり、山口、柴崎がパスコースを塞ぎ、長谷部、昌子、吉田がカバーする、そういうことを決めごとにしてハードにやる。決めごとは大事だよね。コロンビアでの失点は、事前に壁は「飛ぶな」という指示があったにもかかわらずみんな飛んじゃったらしい。そういう指示があったと知らない僕は、あのシーンでテレビに向かって思わず「グラウンダーが来るぞ!」と叫んだもんな。だって、ロナウドやメッシならともかく、角度的に右上隅は無理筋だったんだから。もっとも、GKが川島でなければあれは止めてたと思うが。
攻撃面では、サイドからのクロスは上げても無駄だからやらない。向こうは195センチがいたりするので、空中戦はしない。ボールはグラウンダー。CKもすべてショートコーナーにする。ま、それくらいの指示は出てるだろうがね。でも、だからこそSBは守備に専念できるのだ。
それにしても、これで予選第3戦まで楽しめる。本来は2戦で終わるはずだったのだから、これがありがたい。大迫始め、よく走ってくれたからな。ほんとなら、3-0、4-0で勝たなきゃいけない試合だったが、贅沢は言うまい。とにかく、ああいうふうに全員が体を張ってハードワークをすることでしか望みはない。それが弱国日本に残された唯一の戦い方であり、そこにしか活路を見いだせないことをチーム全員がわかっていないといけない。だから、本田や宇佐美は要らないのだ。本田はアシストはついたが、あの短い時間にどれだけパスミスしてチームに危険を招いたか、それを考えないとな。出すなら、0-1で負けてての残り10分くらい。あと、ポジションがないのかもしれないが、スピード、フィジカルともにある武藤を使いたいよね。香川の交代要員かな。あっと驚く、柴崎とのダブルボランチもいいかもね。でも、そういう練習はしてないか。

で、初戦でほぼすべてのチームを観たが、本命は断然ベルギーだなと思った。アザール、ルカクなどの攻撃陣がいつも脚光を浴び、もちろんすごいのだが、それよりもDF陣がいい。あの統率感にはちょっとびっくりだな。 あとは、フランス、クロアチア、ドイツのヨーロッパ勢、大穴はセネガルだな。ベルギーを「プレミアのオールスターズ」と言った私の友人は、それでもブラジルを推したが、今回はヨーロッパが強いんじゃないかな。

そういえば、先日ベルギーで、動物園から逃げたライオンが撃ち殺されたというニュースがあった。セネガル代表チームの愛称は「テランガのライオン」だ。決勝トーナメントで、ベルギーがセネガルを撃破するシーンがありやなしやだ。

さて日曜は、前期最後のGⅠ宝塚記念。好きな馬がいない。こうなったら、まったく人気のない⑭スマートレイアーで遊んでみよう。調教がとてもよかったし、このところ遊び心が足りないと思ってたし。
総流し的に馬連と3連複で楽しもうか。7枠からの枠連も。あとは④ミッキーロケットも穴としていいな。③サトノダイヤモンド④ミッキーロケット⑨サトノクラウン⑩ヴィブロス⑭スマートレイアー⑯キセキの三連複ボックスは買っておこう。

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